第3回 学生スタッフレポート

  1. HOME
  2. 大学案内
  3. 第3回 学生スタッフレポート

性別の狭間にて生きる

鈴木 信平 氏(会社員/「男であれず、女になれない」著者)

こんにちは。

5月10日「総合2018」第4回は、鈴木信平さんに講演していただきました。

鈴木さんの『男であれず、女になれない』というご自身の思いを綴った著書は、第23回小学館ノンフィクション大賞の最終選考に残り、出版化されました。

鈴木さんは、第三の性と言われているXジェンダーの持ち主です。Xジェンダーとは、出生時に割り当てられた男女のいずれでもない性別の立場をとる人々のことです。

カラフルな洋服に身を包まれた鈴木さんから、どのようなお話を聞くことができるのか、当初私たちには少し緊張感がありました。しかし、多彩な人生経験から生み出された、独特でユニークな自己紹介は、会場の空気を和ませ、聴講者の心をぐっと引きつけていました。

自己紹介をされた後、性についての知識を教えてくださいました。講演前の私は、男性・女性・性同一性障害の方という括りをしていました。しかし講演後、男性と女性以外の性別にも多くの分類があることを知りました。加えて今後は、性同一性障害という言葉ではなく、性別違和という言葉が使われていくことを知りました。

次に、鈴木さんのこれまでの人生についてお聞きしました。幼いころから、女の子用の着物を着たり、首を傾げたりと可愛らしい一面があったようです。しかし高校では、男子だけのクラスに入れられてしまいました。その中で、「自分は他の男子とは何かが違う、一体自分は何者なのだろうか」と疑問が生じ、一度、自身の人生を立ち止まって考えようと思われたそうです。そして、「退学する」という決断をされました。

私は鈴木さんのお話の中で、このことに一番強く心を動かされました。鈴木さんが高校を退学するということも、退学を決めたその理由も、世間的に軽々しく行ったり、公表したり出来るものではないはずです。しかし、だからこそ鈴木さんの意思は、それほどにも固く、強いものだったのだと、私は感じました。鈴木さんは自分の人生をしっかりと見つめ、考え、貫き通したのです。「社会の中で少数派の性別は、必要以上にタフな精神を持たなければ生きていくことができない。」と鈴木さんはおっしゃいました。多数派の性別の人は「性別は男女の二つ」という固定概念があることが多く、少数派の性別の人へ偏見の目を持ちがちです。そのため現状では、少数派の人が生きづらい社会となってしまっています。

最近は、LGBTについて身近だから考えようと言われることが多くなっています。しかし鈴木さんから、「身近だから考えるのではなく、例え世界に一人しかいなくても、大事だから考えるべきなのです。」と、教わりました。

また、「私は、男でもないけど女でもない、極めて純度の高い自我を持っていて、全ての思いをそのままに今も生きているだけ。私は私なのです。」との言葉が心に残っています。周囲の目を気にせず、ありのままの自分を認め、さらけ出していく勇気に深い感銘を受けました。

最後に鈴木さんは、「総合2018」のテーマについて言及して下さいました。フレキシブルとは何であるのか?、私たちはどれだけの境を意識しているのか?多くの問題提起をしてくださったことを参考に、今後の「総合」の授業の中で、解決していきたいです。

私は今回の講演で、自分がどれほど狭い知識の中で生きてきたのかに気づかされました。自分は抱えていない問題に対し、常に悩み考えている人がいる。自分はまだまだ知らないことだらけであると思います。「総合」の授業は、自分の視野を広げるために、貴重な時間だと思うので、今後も大切にしていきたいです。

英文学科1年 ブドリ

コメントシートより

  • 「自分が自分である」ということは、自分の認識によって決められるということを知ることができた。
  • 世の中に、様々な性の考え方が浸透せず、固定概念を抱いている人が多くいるので、理解が広まると良いと思った。
  • 私が私であるということを大事にし、自分に正直に生きていきたいと思った。
  • 固定概念にとらわれないで、自分の譲れないものを大事にしていきたいと思った。
Copyright©2019 Tsuda University.
All rights reserved.