第2回 学生スタッフレポート

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新しいモノサシで考えよう〜いま伝えたいSDGs

国谷 裕子 氏(キャスター/東京藝術大学理事)

こんにちは!

4月26日、「総合2018」第二回目の講演者は、国谷裕子さんでした。国谷さんは、昨年度、津田梅子賞を受賞されています。23年間に渡って、NHKの『クローズアップ現代』の顔を務められた国谷さんだけに、当日の教室は多数の聴講者の活気であふれていました。

講演で国谷さんは、大きく分けて三つのお話をしてくださいました。ご自身のこれまでのご経験、現在尽力されているSDGs (Sustainable Development Goals : 持続可能な開発目標) 、そして、日本の女性活躍の現状についてです。

アメリカの大学で国際関係学を専攻されていた国谷さん。しかし、学生時代は、自分が将来何をしたいのか、はっきりしなかったといいます。それで自分探しの世界一周一人旅に出たとのこと。それでも自分が本当にしたいことはわからなかった、と国谷さんはおっしゃっていました。現在では、あらゆる分野の問題に対して多角的な視点から議論されている国谷さんだけに、私自身このお話には驚きました。

自分が将来進むべき方向に悩んでいる学生は多いと思います。けれどもそれは当然のことで、「これだ」というものが決まらないからこそ、様々な分野に挑戦し、自分の可能性を広げることができるのではないか、と思いました。実際、国谷さんは、キャスターの仕事をすることになるまでに、外資系企業に勤めたり、翻訳・通訳などの仕事をされてきました。そんな国谷さんが、「私はキャスターとして成功しなければ、一生前を向いて進むことができない!」と思うに至ったきっかけは、キャスターとして期待に応えられなかった時の自身への失望感だったといいます。「失敗が人を成長させる」といいますが、一つの失敗が、その後の人生の軸を作っていくこともあるのだと思いました。その失敗経験があったからこそ、国谷さんは、徹底的にキャスターという仕事に向き合い、こだわり、現在のような影響力のあるキャスターとなられたのです。

次に、SDGsについて詳しくお話くださいました。SDGsは、2015年の国連持続可能な開発サミットで、2030年までに達成するために掲げられた国際目標です。17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットから構成されています。SDGsの特徴は、途上国も先進国も「誰一人取り残さない」という理念だといいます。

SDGsに関するお話で、私にとって最も衝撃的だったのは、食料廃棄の現状です。世界では、食料生産量の約3分の1が廃棄されています。そして日本では、毎年646万トンもの食料が、まだ食べられる状態なのにもかかわらず、廃棄されています。これは、世界全体の食料援助量の約2倍です。「自分の生活が誰かに害を与えていないか、常に考えるべきだ」という国谷さんの言葉が強く心に残っています。

また、最後に話してくださった、日本の女性の働く現状にも、驚く点が多々ありました。一例を挙げると、働く意欲が高い女性ほど、初めに就いた仕事を辞める率が高いこと、管理職になりたいと思っている女性社員は、男性社員よりも圧倒的に少ないことなどです。私たち学生が思っている以上に厳しい女性の労働状況も、まだまだあるようです。しかし、現状は確実に変わりつつもあります。問題点を見つけ、一つずつ改善していくことで、女性も男性も働きやすい環境ができたらと思いました。

「SDGsは、やり方を書いていません。自分たちで考えて、自分たちに合ったやり方でやらなければならないのです。」と国谷さんは話されていました。今回、国谷さんから様々なお話を伺い、それぞれ心に残ったポイントがあるかと思います。それを、自分の中でかみ砕いて理解し、実際に行動に移していくことが大切であると感じました。

国際関係学科3年 おいも

コメントシートより

  • より良い世界を作っていくために、様々な課題を良い循環が起こるように解決すべきだ
  • 地球を守るために私たちができることは、豊かさについて、もう一度見つめ直すことである
  • 到達点を目指して動くのではなく、到達点から現在を見て、今すべきことを考えることが必要だ
  • 我々は地球を崩壊から守る最後の世代になるかもしれないという意識を持ち、危機感を共有することが必要だ
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