第1回 学生スタッフレポート

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異分野に橋を架ける

松野 亮子 氏 (環境問題研究家、法学博士)

みなさん、お久しぶりです!
ついに、「総合2018」が始まりました。記念すべき一人目の講師は、環境問題専門家で法学博士の松野亮子さんです。『異分野に橋を架ける』というタイトルでお話をしてもらいました。松野さんは、津田塾大学の卒業生で私たちの先輩にあたります。国際関係学科を卒業されたのち、現在は環境の分野で活躍されている方です。

松野さんは日本消費者連盟でお仕事をされていた時に、ある論文を入手されました。その論文には「非イオン系合成界面活性剤の一種にオスの魚をメス化させる作用がある」との内容が書かれていたそうです。松野さんは、このような化学物質が環境に引き起こす異常現象に対し「どうにかしなくてはならない」という危機感を持たれました。この論文を一つのきっかけとし、環境の分野に関心を持たれたそうです。

松野さんは、遺伝子組み換え作物を開発している企業の専有化が進んでいるということを教えてくださいました。現在は、6社の化学薬品メーカーがそれらの企業の親会社になっているようです。人間は食べ物がないと生きていくことはできません。つまり食べ物を作る種子を支配することは、世界を支配することにつながります。そのため、少数の化学薬品メーカーによって、遺伝子組み換え作物を開発している企業が専有されているということは、とても恐ろしいことなのです。また、ある化学薬品メーカーは、除草剤とその除草剤に耐えることのできる農作物の種子の両方を開発しています。開発された種子以外の植物は、除草剤によって枯れてしまうため、農家による除草の手間を省くことができます。しかし、除草剤耐性作物を栽培する際には大量の除草剤が使用されます。その場合、消費者は多くの除草剤を浴びた作物を摂取する可能性があります。遺伝子組み換え技術により、農家の手間が省け、農作物の価格が下がるという利点はありますが、私たちの健康や地球環境に悪影響を与えることもあるのです。

遺伝子組み換え作物を避けて食べれば大丈夫だと指摘する人もいると思います。確かに、遺伝子組み換え作物を使用している食品には表示義務があります。しかし、表示義務が免除される場合もあるのです。例えば、食品添加物としてのアミノ酸は、最終食品に含まれなければ表示しなくてもよいという規定があります。このように、最終食品に含まれていなければ詳しく表示する必要のない物質も多く存在するのです。また、日本では5%以下の意図せぬ遺伝子組み換え作物の混入の場合も表示義務がありません。そのため、本当に遺伝子組み換え作物が使用されていないのかどうかを知ることができません。このようなお話を聞くと一体何を食べればいいのか疑問を抱くと思います。松野さんは、この疑問に対して食べても大丈夫な食品をぜひ調べてほしいと言っておられました。

松野さんはこのような事態に対して、「科学技術が暴走している。本当に私たちの役に立っているのだろうか?」と指摘されていました。科学だけが先走り、私たちの命や健康が置き去りになっていないか、一度立ち止まって考えてみる必要があると思いました。

国際関係学科3年 うっすー & 英文学科1年 ブドリ

コメントシートより

  • 人間も自然の一部である、ということを忘れずに生きようと思った。
  • 私は今まで安いだけで買うものを決めていたけれど、松野さんのように安さの裏には何があるのかなど、多面的に考えることは大事だなと思いました。
  • 松野さんの経歴を聞き、自分の興味のある分野、やりたい分野に進んできた結果、様々な分野をつなげて今があるのだと気づいた。その姿にとても感動した。
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