第1回 学生スタッフレポート

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ジェンダー平等をめぐる世界の潮流

林 陽子 氏(弁護士 / 前国連女性差別撤廃委員会委員長)

みなさん、こんにちは!
もうほとんど桜が散ってしまい、木々が青々としてきました。授業が本格的に始まって、学生の方々は今が踏ん張りどきだと思います。とりあえずはゴールデンウィークまで頑張りましょう。

「総合2019」、講演者一人目は、昨年度津田梅子賞を受賞された、林陽子さんでした。林さんは、女性当事者のための法的支援を行ったり、国連女性差別撤廃委員会で委員長を勤めたこともある方です。そんな林さんは、現在の女性の弁護士の実情と、津田塾大学の卒業生であり初の女性弁護士の一人である久米愛さんのお話から、講演を始められました。

まず前半では、女性差別撤廃条約、女性差別撤廃委員会についての説明、そして世界のジェンダー平等への流れや日本がどのような歴史を辿ってきたかが、丁寧に説明されました。国籍法や、学校で学習する科目など、昔は思わぬところで日本のジェンダー平等が達成されていなかったことがわかりました。日本以外でも、女性差別撤廃条約を批准していない国連加盟国にアメリカが含まれていることなど、知っておかなければならない歴史と現状が多くありました。

それから後半では、日本のジェンダー平等における主にその課題についてのお話がされました。よく言われているように、ジェンダーギャップ指数の観点から言うと、日本のジェンダー平等は世界の他の国に比べあまり進んでいません。2006年は80位であった順位は今現在110位です。林さんは、フランスは2006年に70位であったのが、今はG7のトップであることを考えると、日本は大きな差をつけられていると言われました。政治参画においても、日本は世界平均やアジア平均よりも女性の割合が明らかに低く、経済活動、つまり賃金においても格差が生じています。また、日本の水準が比較的高いように感じる、女性の健康や教育に関しても、課題が残っていることがわかりました。「旧優生保護法」についての話では、未だにリプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康・権利)に関する課題があることを確認できました。そして識字率が高い一方、実は四年制大学への進学率の男女格差は未だ存在していること、STEMと括られる科学・技術・工学・数学分野を専攻する女性の数が少ないことなど、教育分野においても課題が残っています。

女性の社会的立場に関しては、ジェンダーに基づく暴力という問題も存在します。話題になった#Me, too運動で、強姦、セクハラなど、たくさんの課題が浮き彫りになりました。この間、ヨーロッパを中心に各国の法律は変わっているそうです。その一方で、日本の法整備はあまり進んでいないというのが現状です。

私は、日本のジェンダー平等が進んでいないといっても、世界との格差は微々たるものだと思っていました。しかしこの講演を通して、世界のジェンダー平等への取り組みは日本と比べずっと進んでいるように感じました。女子大という女性しかいない環境にいる私にとって、ジェンダーの不平等は身を以て実感しにくい問題です。だからこそ、より良い社会を築く一助になるためには、日本の現状を知ることが必要です。ジェンダー平等を考える際の土台を作るために、普段の限られた世界から出て、社会の、日本の、世界の現状をきちんと知っていくことが、大切であるのだと思いました。

国際関係学科3年 モノクロ

コメントシートより

  • 最近の日本は、女性の政治参画が進んでいるのかと思っていたが、まだまだ先進国の中では遅れているのだと学び、今後の日本の動きに注目していきたいと思った。
  • 女性らしさを忘れず、中身・外見共に素敵な人になりたいと思いました。
  • 日本で初めて弁護士になったのは、津田塾出身の久米愛さんと聞いて驚いた。
  • 女性が政治的意思を持っていくことも大切なのだと思いました。
  • 津田塾大学の卒業生には、卒業後、女性の格差・差別を緩和させるため、尽力された方がたくさんいることを知った。
  • #Me Tooについての議論はよく見ていたので、私もよくないと思ったことには声をあげようと思いました。
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