情報科学科 授業紹介

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線形代数

情報科学科における数学教育

情報科学科教授 永井 敦

情報科学科の数学は本学科に所属する2名の専任教員が主に担当します。大学数学入門から始まり、情報数学基礎、微分積分、線形代数、確率統計の4つの必修科目、数理モデル、離散数学などの選択科目が設置されています。その中で2年次で学ぶ線形代数では、ベクトル・行列などの基礎から応用まで学びます。
線形代数はさまざまな応用があります。コンピュータ・グラフィックスでは拡大縮小、平行移動、回転などの操作がベクトル・行列を用いることで見通しよく計算できるようになっています。Googleの検索順位を決めるページランクと呼ばれるシステムは、行列の固有値の考え方を用いて設計されています。
授業は週2コマ18週、講義と演習を行います。講義では線形代数の基本事項について、厳密な論証に偏らず具体例を交えながらできるだけ丁寧に解説します。
演習では講義内容に関する課題を配布し、取り組みます。課題は基本から発展レベルまで幅広く設定していて、演習中は学生間の相談もOKなので、質問や議論が活発に行われています。

学びのアイテムは?
教科書 『線形代数』

数学の専門家と非専門家が協働する、というコンセプトで企画された「理工系の数理」シリーズの一冊「線形代数」を10年ほど前に執筆しました。計算の面倒な箇所は補助教材を出版社のHPで公開し授業に利用しています。




3年プロジェクト(情報科学科プロジェクト科目)

発想を形に変え
創造性を伸ばす
プロジェクト科目

情報科学科教授 永井 敦

2・3・4年次に開講されるプロジェクトは情報科学科の特長的な必修科目の1つです。3年プロジェクトではテーマごとに教員の担当が分かれており、学生はそれぞれの興味にあわせセミナーで学びを深めます。課題内容はアプリ開発、シミュレーション、データ解析、ものづくりなどバラエティに富んだ内容で、今年度は15週かけて1つのプロジェクトを完成させます。最終週にはプロジェクト発表会を行います。

さて、私、永井ゼミでのプロジェクトについてお話しします。私自身2017年4月に津田塾に着任いたしましたが、前任校では担当経験のない科目のため、何をやったらいいか思案していました。幸い、ここ数年私の専門である応用数理の分野で、人間の視覚を騙す錯視絵、そして一見あり得ない形をしているのに作ることのできる不可能立体の研究がホットなトピックだったこともあり、「錯視をやろう!」ということで思い立ち「不可能立体と錯視」というテーマで3年プロジェクトを提案したところ、 5名の学生がこのテーマを選んでくれました。

錯視絵や不可能立体は見たり作ったりすることに加え、どうして錯視が起こるのか、そのメカニズムやからくりを学ぶことも大切です。事前に、錯視や不可能立体の本を10冊程度揃えて、学生に輪読する本を選んでもらうというところから始めました。本を選んで発表順を決めたのち、輪読を開始。輪読の終わる5月下旬から、2 ~ 3人のグループに分かれて、実際に錯視図や不可能立体を作成してもらいます。立体を工作し色々な角度からビデオに撮ったり、プログラミングをしてどうやったら錯視が起こるか目を凝らしてコンピュータの画面を見たり…、実際にやってみるとなかなか教科書通りにはいきませんが、それもプロジェクトの面白いところです。

試行錯誤の繰り返しで私個人は反省の残る数カ月でしたが、学生たちのお陰で、無事プロジェクト発表会を終えることができました。発表会で他の先生方のセミナーの発表を聞きましたが、いずれのセミナーの発表内容も1つ1つよく練られたとても興味深い内容で、津田塾の学生のレベルの高さを改めて実感しました。そして何より学生一人ひとりがこのプロジェクトを楽しんでいることが印象的でした。3年プロジェクトは課題解決力、企画力、プレゼンテーション力を育む「津田塾らしさ、情報科学科らしさ」を体現した科目といえるでしょう。


 

学びのアイテムは?
錯視、不可能立体の本

錯視や不可能立体は眺めていて面白い、というのはもちろんですが、情報科学、数理科学、心理学などいろいろな学問が絡み合った奥の深い分野です。
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