大島 美穂 教授
研究テーマ/授業名
[主な担当授業:グローバリゼーション論、市民社会における安全保障論、インターナショナル・ポリティックス、セミナー] 専門は北欧を中心とした欧州国際政治です。グローバリゼーションの中での地域の独自性、安全保障、環境問題に関心があります。
高校生へのメッセージ
津田塾大学の学生は、自立しています。一人で何でもでき、無意味に群れることはありません。一人映画も、一人図書館も、一人ラーメンも、一人旅行も・・・一人祭りもあります。しかし、授業での共同のプレゼンや卒論執筆時の苦しい時期にゼミで励ましあう姿は秀逸です。一人で自分のテーマを見つけ、追究する自活力とチームプレーのできるコミュニケーション力は、手前味噌かもしれませんが、本学で培った力だと思います。
私の研究
国際政治の視点から北欧を研究しています。北欧は福祉や民主主義、女性、マイノリティへの視点がことに強調されますが、国際政治の中での動きも特徴的です。冷戦期に東西対立の間に置かれながら、地域全体が分裂することなく実質的な緩衝地帯をつくることができたのはなぜなのか。またそうした地域の安定の前提となったバランス外交を可能とした内政はどのようなものだったのか。こうした視点から、一方で、北欧の地域協力や北欧諸国間の相互関係を、他方で戦間期から戦時中、さらに戦後の冷戦期の関係を考察してきました。
そこから明らかになったのは、必ずしも思想やイデオロギーで「全方位」外交を行ってきたわけではなく、大国の動向を見ながら自国の生存を求めてきた結果が、中立的な外交や平和外交と呼ばれるものとなったということです。特に私が留学し一次資料から調べてきたノルウェーは、第二次世界大戦時にはナチ政党に属した国民が、レジスタンスを闘った国民の数とほぼ同じでしたし、戦間期には北極圏の島嶼に行ってそこに掘っ立て小屋を建てるなどの行為で「植民地」を増やそうとした男たちがいました。こうした北欧が、世界の対立に巻き込まれそうになると自国利益のために慎重な対応、他国の利益を尊重する政策になるところに、北欧の「現実主義」があります。
これは現在の北欧諸国が国連や他の国際機構に対して積極的であること、NATOやEUのコミットメントに対してもできるだけ「中立」的であることにも表れています。そして、こうした北欧の平和外交や中立外交が、周り回って北欧諸国の安全保障に寄与しているとすれば、安全保障とは単なる武装姿勢ではなく、安全供与も大きな意味を持つという、国際政治の現実を示しているように思われるのです。
そこから明らかになったのは、必ずしも思想やイデオロギーで「全方位」外交を行ってきたわけではなく、大国の動向を見ながら自国の生存を求めてきた結果が、中立的な外交や平和外交と呼ばれるものとなったということです。特に私が留学し一次資料から調べてきたノルウェーは、第二次世界大戦時にはナチ政党に属した国民が、レジスタンスを闘った国民の数とほぼ同じでしたし、戦間期には北極圏の島嶼に行ってそこに掘っ立て小屋を建てるなどの行為で「植民地」を増やそうとした男たちがいました。こうした北欧が、世界の対立に巻き込まれそうになると自国利益のために慎重な対応、他国の利益を尊重する政策になるところに、北欧の「現実主義」があります。
これは現在の北欧諸国が国連や他の国際機構に対して積極的であること、NATOやEUのコミットメントに対してもできるだけ「中立」的であることにも表れています。そして、こうした北欧の平和外交や中立外交が、周り回って北欧諸国の安全保障に寄与しているとすれば、安全保障とは単なる武装姿勢ではなく、安全供与も大きな意味を持つという、国際政治の現実を示しているように思われるのです。