奥脇 奈津美 教授
高校生へのメッセージ
今や、何らかの形で日常的に英語を使用する人は世界中で15億人いるといわれています。英語は「リンガ・フランカ」として、共通の母語を持たない人々がコミュニケーションする際に使われる言語になっています。英文をクリティカルに読み、関連する事柄についても議論し、エヴィデンスに基づいて自分の考えを英語で書いたり論じたりする力が求められています。そのような英語力を身につけて国内外へはばたきましょう。
私の研究
第二言語(Second Language)の発達と習得のメカニズムについて研究しています。第二言語とは、母語を獲得したあとに習得する言語のことで、多くの日本人にとっては,英語がそれにあたるでしょう。第二言語の習得には、母語、学び始めた年齢、学ぶ環境、どのような英語を聞く・読むのか、使う機会がどの程度あるのか、学習への動機など、多くの要因が関わります。そのなかでも、特に母語に注目し、日本人の英語習得に母語がどのように影響するのか(何が影響して何が影響しないのか)、ということを探っています。研究の方法としては、学習者に、英語を書いたり話してもらったり、テストを受けてもらったり、コンピュータを使用して反応時間を測定したりして、さまざまなデータを収集します。そのデータを分析して、仮説が正しかったかどうかを検証するのです。たとえば、「1年間英語圏に留学した人は、どのような英語力がどの程度つくのか」ということを調べるために、留学前と留学後に英語力(語彙力、言語処理力、文法力、ライティング力など)に関するデータをとって比較します。最近では、句動詞やコロケーションなど、かたまりとしての複語表現の習得に注目しています。定型言語(formulaic language)を適切に使うことは、言語を自然に、流暢に使用することにつながります。語を一つ一つ覚えていくことが基本ですが、より大きな単位で、かたまりで覚えていくこと重要であることもわかってきました。このような考え方を取り入れた英語学習についても考えています。