萱野 稔人 教授

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萱野 稔人先生 萱野 稔人先生

高校生へのメッセージ

津田塾大学の学生たちは「津田塾大学にして本当によかった」といって卒業していきます。
その最大の理由は、津田塾大学には、学生たちが互いに高め合い、かつ必要以上に干渉し合わない(つまり足を引っ張らない)という雰囲気がとても強くあることだと思います。
また、津田塾大学では学生と教員の距離がとても近く、学生は気軽に教員に質問をしたり研究室を訪れたりして、多くのことを教員から吸収しています。
そんな学生満足度の高い津田塾大学をぜひ目指してもらえればと思います。

私の研究

私の専門は哲学です。といっても、そもそも哲学とはどのような学問なのか、よく分からないという人も多いかもしれません。また、哲学はとても幅の広い学問なので、ひとことで「哲学」といっても、そこにはさまざまな研究対象や研究分野があります。

私はもともと17世紀オランダの哲学者、バルーフ・デ・スピノザや、20世紀フランスの哲学者、ミシェル・フーコーの哲学を研究していました。その後、国家とは何か、権力とはどのような力なのか、ナショナリズムとはどのような現象なのか、といった問題を研究するようになりました。分野でいえば政治哲学の分野です。近年では、その政治哲学の研究をさらに広げて、現代社会で生じるさまざまな問題を哲学的に考察する、公共哲学の分野で研究をおこなっています。

たとえば「アファーマティブ・アクション」という言葉があります。日本語では「積極的差別是正措置」などといわれます。これまで差別されてきたマイノリティを、その差別を解消するために、特別枠をつくって大学への入学を認めたり、企業への就職を認めたりする措置のことです。女性の管理職を30%以上にすることを企業に義務づける措置などもこれに含まれます。難民や移民に特別な保護をあたえる人道的措置も、広く考えれば、彼らの不利な状況を解消するための積極的是正措置と言えるかもしれません。

この場合、当然ながら、その措置によって割りを食うことになる人たちから反発や批判が生じます。大学の入学定員や就職の枠、管理職のポスト、政府の予算などの「限られた資源」をめぐって争いが起こるわけです。このとき、どのような措置を正しいと考えるのか、どのような原理で対立する当事者たちの利害を調整するのか、どのような根拠のもとで新しいルールを制定するのか、といったことが問題になってきます。そうした問題を考えることが、私の公共哲学の研究です。
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