原 隆 准教授

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高校生へのメッセージ

「何故こんな式が成り立つんだろう?」「もしかしたら、こんな規則性があるんじゃ……?」と言った素朴な疑問を手掛かりに、隠された法則 (定理) を探し出す……そんな「宝探し」のようなスリルと興奮を味わえるのが、数学という学問の醍醐味ではないかと思います。
公式や解法を「覚える」ことなど、数学の極々瑣末な一側面に過ぎません。
大いなる好奇心だけは忘れず、積極的に自分なりの「財宝」を探しに旅立って行ってください!

私の研究

整数を研究する「整数論」と呼ばれる分野の中でも、特に岩澤健吉によって創設された岩澤理論を中心に研究しています。岩澤理論は非常に込み入った理論で一言ではなかなか説明しづらいのですが、標語的には(イデアル類群やセルマー群のような)〈代数的な対象〉と(p進L関数という)〈解析的な対象〉の間に潜む神秘的な関係(岩澤主予想)を探究する学問です。
数学科では、1、2年で微分積分学と線形代数学という現代数学の基礎たる2つの科目を第一に学びます。実際に勉強してみれば分かると思いますが、この2つの科目は見た目も用いられる手法も大きく異なり、最初は「かけ離れた分野だ!」と感じられる人も少なくないでしょう。そんな “線形代数的世界” と “微分積分学的(解析的)世界” が、〈p進世界〉という整数論的な舞台上で眺めると実は密接に関係している(!)、という大胆不敵な主張が(かなり乱暴な表現ではありますが)岩澤主予想であると言えましょう。
一口に岩澤理論と言っても色々な研究の立場がありますが、私は岩澤主予想を主たる研究対象としており、特に2000年前後に John Henry Coates 等によって開拓された《非可換岩澤理論》と呼ばれる比較的新しい分野に興味を持って研究を進めています。
従来の整数論の研究ではあまり表舞台に現れなかった非可換環論や代数的K理論が複雑に交錯する、エキゾチックで難しくも楽しい研究分野です。

岩澤健吉先生の全集と、岩澤理論の幕開けを象徴する論文 "On Zl-extensions of algebraic number fields" の冒頭部分。
岩澤理論の代表的な教科書。右側の緑色の2冊は、2014年に小豆島で開催された第22回整数論サマースクール『非可換岩澤理論』の報告集。
明石の御方(土佐光則画)と、非可換岩澤理論で最も有名なBurns−加藤の可換図式。
「非可換岩澤理論の困難を、古典的な岩澤理論の設定と結びつけて解決する」というアイデアを、数学者John Coatesは源氏物語の「須磨」「明石」の巻に準えて〈明石の哲学〉と称したとされる。
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