多賀 吉隆 教授

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多賀 吉隆先生 多賀 吉隆先生

高校生へのメッセージ

社会の中の多様性を実際に調べてみませんか。日本が多言語社会になってきたと言われていますが、日本語以外を使うマイノリティが明治以降ずっといます。また、日本語の中でも互いに通じない方言がずっとあります。そういう点では日本も現実はそれほど他の国と違いがありません。均質な社会であるというようなイメージがあっても、データを集め、「みえる化」して整理し、理詰めで考えると多様性が見えてきます。言語学はそのためのツールとしてに使うことができます。

私の研究

ラテン語から発達した言語、とりわけ南フランスを中心に使われるオック語を主に研究しています。特に、単語の作られ方と音の制約がどのよう関係しているかを調べています。英語に似たものがある単語を例にすると、mòle《[化学の]モル》を形容詞にするのに、-alをつけた *molalが発音しにくいので、molarとするようなことです。語形成と音の制約の関係には、どの言語でも似たことがある一方で、言語ごと、方言ごとの違いもあります。

オック語は、国家の言語となったフランス語によって、社会の中での役割を奪われていました。役割を取りもどす、つまり、実際に現代社会の中で使えるようにするには、社会的な運動に加えて、新しい現実に対応した新しい単語を作るか、既存の単語に新しい意味を与えることが必要です。また、その単語を書いて読むときに方言差があっても、問題がない工夫も必要です。どういう新語を作り、それをどう綴るのかは、現代オック語にとって重要な問題です。

英語やフランス語など西ヨーロッパの言語では、「難しい語」が学問の言語であったラテン語から借用し、その言語に適応させたものです。現在のオック語話者の大部分はフランス語との二言語使用者なので、そのような知識を活かせるようにしつつ、フランス語と異なるオック語の独自性も追及しています。このようなことを調べ、他の言語の事例と比べていくと、いろいろな側面で、言語の多様性と、その背景にある普遍性が少しずつ分かってきます。
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