下谷内 奈緒 准教授


高校生へのメッセージ
国際社会は紛争、テロ、格差、環境破壊など様々な問題に直面していますが、これらには明快な解決策はなく、また、問題の捉え方も一つとは限りません。大学ではこれまでに出されてきた知見を学び、正解のない問いに根気強く取り組みますが、それはひとりでできるものではありません。多様な意見の交換を通して、ともに学びあう姿勢を大切にしています。
私の研究
専門は国際政治学ですが、国際法と交錯する領域、特に国際社会における正義と秩序の関係に関心をもって研究しています。国家の上位に中央集権的な(世界)政府が存在しない国際社会では、各国は自国の利益を追求しがちであるため、秩序をいかに維持し、平和を創造するかが国際政治学の主要な関心事でした。しかし近年では多くの国際条約やルール、国際機構がつくられています。
そのなかで私は国際刑事裁判や戦後補償裁判の分析を通して、紛争後の社会が、いかに過去の重大犯罪と向き合うかについて研究してきました。国際刑事裁判所(ICC)の設立に象徴されるように、国際社会ではジェノサイドや戦争犯罪といった重大犯罪を処罰する規範が形成されてきました。しかし現実には大国が関係する事態の捜査は回避されたり、民主化や紛争終結といった国内秩序の安定を優先するために、権力者の処罰に抑制的な見解が根強く残っていたりします。国際規範の形成とそれが国際関係に与える影響を、処罰と和平の関係や和解の条件を明らかにすることで考察しています。
そのなかで私は国際刑事裁判や戦後補償裁判の分析を通して、紛争後の社会が、いかに過去の重大犯罪と向き合うかについて研究してきました。国際刑事裁判所(ICC)の設立に象徴されるように、国際社会ではジェノサイドや戦争犯罪といった重大犯罪を処罰する規範が形成されてきました。しかし現実には大国が関係する事態の捜査は回避されたり、民主化や紛争終結といった国内秩序の安定を優先するために、権力者の処罰に抑制的な見解が根強く残っていたりします。国際規範の形成とそれが国際関係に与える影響を、処罰と和平の関係や和解の条件を明らかにすることで考察しています。