元橋 利恵 講師


高校生へのメッセージ
人には2つの知的な好奇心があるときいたことがあります、世界とは何か、そして、自分とは何者なのか。これはそれぞれを学んでいくことで相互に深めていくことができると考えています。このような社会や自己の探求のための期間と仲間をもてることはみなさんにとって大きな財産となりますし、津田塾大学はそのようなみなさんの探求をとりわけ大切にする大学であると感じています。
私の研究
近代以降、女性が母になるということは「当たり前」であるという強い規範がつくられ、人々に内面化されてきました。しかしみなさんも感じているように、現代では必ずしもそうではありません。ですが今でも、母親になる、母親であることはその女性の社会生活に大きな影響をもたらします。逆に、母親にならないという決断、判断、選択をすることもまたその人にとって大きな意味を持ちます。人類はこれまでも、いつでも新しい人をこの世界に生み出し、迎え、育み、社会を作ってきました。その営みにおける大きな位置をしめる(とされてきた)「母」という役割をめぐり、現代を生きる女性は、喜びや幸せだけでなく、苦悩や葛藤など様々なアンビバレンスな感情をますます抱かざるを得ない状況があるのではないでしょうか。それは現代のどのような社会構造によって引き起こされているのか、そして私たちが尊厳を失わずに誰かを充分にケアしケアされながら生きていく社会をつくっていくには、どのような条件が必要なのか、そのようなことを考えています。これまでは主にインタビュー、参与観察、資料分析などの質的な方法を用いて、母親でありケアを担う女性の政治参加や社会運動をテーマに研究をしてきました。

