藤波 伸嘉 教授

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私の研究

19世紀末から20世紀初頭は西欧列強の支配が貫徹する帝国主義の時代であり、西方キリスト教起源の術語概念が、あたかも宗教横断的な普遍性を持つものの如く世界各地に広まる時期に当たりました。そこで、中世以来、西方キリスト教の直近の「他者」であったイスラームと正教を支配的な宗教とするオスマン帝国とギリシアという二か国を取り上げ、ムスリムと正教徒の双方が、如何なる心性や学知や制度の中に置かれていたのか、その結果、どのような言動が生じ、どのような政策が採られ、どのような記憶が後世に残されたのか、という問題に関心を持って研究を進めています。とりわけ、西欧起源の術語概念が如何に受容され解釈されたか、あるいは逆に、その種の術語概念が各々の国制を如何に把握し定義付けたのかという問題を考察することで、両国における法や政体や学知をめぐる制度とその来歴につき、史料に基づく歴史学的な手法に則った研究を進めています。以上の課題を達成するために、具体的には、一方では主権国家の枠に留まらない歴史地理認識や歴史叙述の在り方を探り、他方では主権国家の正当化の論理の在り方を跡付けています。特に最近は、この当時に活躍した個々の法学者の言説を考察することで、オスマン帝国とギリシアをめぐる国法学/憲法学、行政法学、国際法学の形成と発展を辿りつつ、それが同時代の現実の政治過程にどのように影響し、また影響されたのかを考察しています。
『オスマン帝国と立憲政-青年トルコ革命における政治、宗教、共同体-』
『オスマン帝国と立憲政-青年トルコ革命における政治、宗教、共同体-』
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