早川 敦子 教授

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早川 敦子先生 早川 敦子先生

研究テーマ/授業名

新たな研究領域として注目される翻訳理論やホロコースト文学を通して、20世紀以降のグローバルな視点がどう構築されてきたか、また世界観や歴史観の変化を考察しています。

高校生へのメッセージ

未知の「他者」と出会い、世界と出会う、その導き手が「言葉」です。「翻訳」も、他者の言葉を通して拡がる未知の世界で始まる対話です。「こどもの時間」というアメリカ人哲学者の詩集を訳した時には、作者の思い出が子どもの成長を見守る普遍的な母親の願いと重なって、翻訳を通してさらに音楽が生まれ、未来への新たな世界が誕生しました。そのような学びと出会いの経験を皆さんと共有できたら幸いです。

私の研究

「言語文化・翻訳・世界文学を通して世界を観る」

20世紀は戦争の世紀と言われ、それまでの世界が激動の中に投げ込まれると同時に、世界観・人間観・歴史観が大きく変容しました。その負の歴史から新たな表現が模索されていく過程で、言葉を絶するホロコーストの経験と向き合い、苦悩の中から生まれた文学がホロコースト文学です。それは痛ましい文学であると同時に、人間の魂を深く追求する普遍的な領野を拓く新しい文学でもありました。
多くが翻訳を介して世界に拡がっていったこのような文学を通して、言葉と表現の関係性や、翻訳がどのように時空を超える言葉を牽引してきたかを研究してきました。そこで、20世紀から現代に至る歴史観の変化や世界観の再構築がどのように展開してきたか、また未来に向けての平和構築の可能性が興味深く見えてきます。
また、イギリス小説を対象に、「子どもの文学」は大人の文学とどう違うのか、文化史の観点から考察することも研究テーマの一つです。「かつては子どもだった」大人が敢えて次世代の子どもに向けて言葉を紡ぐとき、どのような未来への伝言が胚胎されているのでしょうか? 時代や作者の世界観など、言葉を介した言語文化の形成の特質が、ここにも関係しています。
このように言葉をめぐる研究を展開しつつ、近年脚光を浴びてきた「世界文学」—たとえば村上春樹や、ノーベル文学賞を受賞したKazuo Ishiguroなど—を「翻訳理論」を手掛かりに読み解くなど、多様なテーマにチャレンジしています。
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