中谷 森 講師

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高校生へのメッセージ

私が研究する演劇の世界は、「へんてこなもの」や「よくわからないもの」に満ちています。差別やいじめの例がよく示すように、しばしば人は、自分に理解しがたいものを恐れ、社会から排除しようとしますが、演劇とは、何よりもまず「理解し合えなさ」から出発することで、多様な存在に開かれた場を生み出す芸術行為ともいえます。これは演劇に限らず、大学での学びそのものにもいえることです。理解しがたいものの存在を認め、自ら近づいていく勇気。その後押しができたらと願っています。

私の研究

みなさんの多くは、学園祭の催しや課外活動など、何らかの機会で演劇の上演に参加したことがあるのではないでしょうか。このように演劇は一般によく馴染みのあるもので、人が他者を演じてみせるという非常にシンプルな行為でありながら、実に奥深い芸術形態でもあります。役者が演じるのは人だけでなく、神様や妖精に亡霊、あるいは観念的な概念ということもあります。また歴史的には、驚くほど様々な形の劇場が考案されてきました。役者が話す言葉をみても、「芝居がかった言い回し」という表現があるように、私たちが普段用いる話し言葉と同じようで、そうではない独自の言語表現が発達しています。

私が専門的に研究しているのは、ルネサンス時代のイギリスで活躍したウィリアム・シェイクスピアという劇作家(『ロミオとジュリエット』や『ハムレット』は聴き馴染みがあるのではないでしょうか)ですが、特に関心があるのは、シェイクスピアの書いた戯曲が、明治以降日本人によって翻訳・翻案・上演されることで、上述したような古今東西の様々な演劇文化を巻き込み、新しい演劇のあり方を生んでいった過程です。国や文化、言葉の壁を超えていくとき演劇に何が起きるのか、そして、演劇とそれを生み出す人々にとって文化や言葉とはいかなるものか、こうした問いに関心を寄せています。



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