木原 健次 准教授

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木原 健次 准教授 木原 健次 准教授

高校生へのメッセージ

本を読むのがあまり得意ではないという方も歓迎します。文学・文化研究は、「読む」「解釈する」という行為を深く掘り下げる営みです。作品の理解を深めるのみならず、それが生み出され受け入れられた社会や、自分が生きている世界についての読み方を広げることをも目指すものです。アメリカ文学・文化の分析を通じて、アメリカの社会や歴史を個人の生きられた経験の視点から具体的に学び、自分がどんなものに囲まれているのかをことばにする術を一緒に探りましょう。

私の研究

20世紀のアメリカ文学・文化、とりわけ恐慌期と呼ばれる1930年代を軸に研究しています。1929年10月、株式市場の大暴落を機に、アメリカは突如恐慌の時代を迎えました。大不況の中、国内全土の貧困層の存在や経済格差の問題が浮き彫りになり、自助努力や個人主義を従来重んじてきたアメリカにあって、福祉国家を志向するニューディール政府が1933年に成立し、また、知識人や芸術家の少なからぬ人々が社会主義に傾倒したりもしました。
こうした状況の中、文学・文化の領域では、一見矛盾するような二つの現象が生じました。一方では、人々の苦境を描き出し、社会環境の変革を訴える「シリアスな」社会派リアリズムの文学作品が描かれることになりました。例えば、ジョン・スタインベック『怒りの葡萄』やリチャード・ライト『ネイティブ・サン』といった作品が知られます。他方で、アメリカ大衆文化、とりわけハリウッド映画の黄金期ともされる1930年代には、コメディ、ファンタジー、西部劇などのジャンルで大衆娯楽の名作が次々に生み出されました。社会変革の行動への訴えといった視点で見るとき、前者の社会派リアリズム作品と後者の大衆文化のベクトルは相容れないようにも見えますが、これら二つの文化現象はいずれも「大衆」や「集団と個人の関係」といったテーマに関わりをもつものでした。具体的な個々の作品が、この時代の社会や政治や経済をどのように描き、どのような関係を切り結んでいたかを探ることが私の研究テーマの一つです。
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