池野 みさお 教授

こんにちは！ 実は私も津田塾の英文学科の卒業生です。私が高校生の時この大学を選んだのは、高校教師だった父に勧められたこと、九州脱出を目指していたこと、英語を学べばいつか世界に飛び立てると思ったこと、などが主な理由でした。入学後は、硬式テニス部に所属して、勉強そっちのけでテニスに精を出しました。卒業後は、念願のアメリカに留学しその後大学院に進みましたが、津田で出会った友人たちは本当にいい仲間で、生涯の宝物です。皆さんも、津田でたくさんの宝物を見つけてください。

私の専門分野はアメリカ文学・文化です。アメリカ合衆国の多文化・多民族性が進むにつれて、アメリカ文学もますます多様化しています。かつて白人男性作家が圧倒的な部分を占めたアメリカ文学史のテキストは、今や女性、アフリカ系、アメリカ先住民、アジア系、ラティーノたちの作品なしには存在意義が見出せないほどです。そして、人種・ジェンダー・エスニシティの研究は、アメリカ文化研究だけでなく、アメリカ文学研究においても最重要な課題の一つとなっています。
そのような中、私自身の関心も時代とともに変化してきました。19世紀アメリカン・ルネッサンス期の白人男性作家Herman Melvilleに始まった私の研究は、女性作家研究を経て、いま最も関心があるのはアジア系アメリカ人作家の研究です。ただ、人種・ジェンダー・エスニシティの研究は互いにクロスオーヴァーしているところがあるので、たとえば、ジェンダーという視点から、19世紀後半から20世紀前半にかけてのAlcott、Gilman、Chopin、Catherなどの白人女性作家の作品から、20世紀以降のHurston、Morrison、Walker、Kingston、Yamamotoなどのアフリカ系、アジア系にいたる作品を比較対照してみると、人種やエスニシティを越えた女性の苦闘が見えてきます。
それと同時に、日系、中国系、コリア系、ヴェトナム系、インド系、フィリピン系など、幅広いエスニック・グループを扱うアジア系アメリカ文学・文化の研究に、今大変興味をおぼえています。