相木 裕史 講師

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相木 裕史 先生 相木 裕史 先生

高校生へのメッセージ

絶えまなく変化しつづける世界の中で生きていくみなさんにとって、「言葉」と真摯に向き合うことは必ず大きな力となります。言葉は決して万能ではありません。それどころか、人間の経験の前に言葉があまりにも無力であることを、私たちはことあるごとに思い知らされます。しかし、そのような言葉の限界を知ることによってのみ、言葉の可能性を知ることができるのではないでしょうか。小さな言葉、弱い言葉を聞き逃さないための感性を、ともに養っていきましょう。

私の研究

専門はアメリカ文学・文化研究です。F・スコット・フィッツジェラルドやアーネスト・ヘミングウェイといった作家たち(日本でも人気が高く、これまで多くの読者に愛されてきました)が活躍した、モダニズムと呼ばれる時期の文学作品にとりわけ深い関心を寄せています。研究の手法としては、ジェンダー/セクシュアリティ研究や視覚文化論の成果をふまえて、文学作品において「他者」がどのようなかたちで表現されているのかを検証しています。

アメリカ文学の作家たちは、社会的・文化的な性の規範(=ジェンダー)と自己のあいだに違和感をおぼえ苦悩する人物をさまざまに描いてきました。そして、人間の性と欲望のありよう(=セクシュアリティ)が社会や文化が認めるより遥かに多様であることをさまざまなかたちで表現してきました。ジェンダー/セクシュアリティ研究によって、私たちは文学作品の読み方だけではなく、文学史の成り立ちそのものを新たな視点から捉え直すことができるようになったといえます。

また、「文学」というものの本質とは何かを考えるとき、絵画や写真、映画といった視覚芸術をあつかう視覚文化論はとても興味深い知見を与えてくれます。同時代における視覚芸術の普及と発展にともなって、「文学」というものがどのように変質してきたのかを検証することもまた、私の研究にとって重要な課題のひとつであり続けています。
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