2022年度「津田梅子賞」受賞者

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本学創立110周年を記念し創設した「津田梅子賞」は、今年で12回目を迎え、 全国からご推薦をいただきました。
選考の結果、今年度の受賞者は次の方に決定いたしました。

松原 亘子 氏(1997年に女性初の労働事務次官に就任)

  この度は津田梅子賞という輝かしい賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。心より御礼申し上げます。
 ただ正直に申し上げますと、電話で内定のお知らせをいただいた時にはまず「エツ!なんで私に?」と思いました。
 それはこの歳になって「何故?」という単純な驚きでしたが、加えて、私のこれまでの人生のほとんどは公務員としての職業生活であったことからこの賞の趣旨に照らして本当に私に受賞者の資格があるのだろうかと思ったからです。過去の受賞者の方々はいずれも女性の地位向上や活躍推進に貢献された方か、ご自身が女性として自ら新しい道を拓かれた方ばかりです。
 私自身も「女性初」として紹介されることはありましたが、それは公務員としてアサインされた任務をひたすら実行した結果に伴うものにすぎません。それが評価されたとしたらそれは任務を共に遂行した先輩、同僚など多くの仕事仲間との共同作業の成果の賜物です。
 雇用機会均等法など法律制定に係る仕事が成果を生むまでには長い年月が必要であり、その間には法制定の功労者として表舞台に出た人以外にその舞台を準備した人、裏方で人知れず努力した人、厳しい批判を受け止めてくれた人などが大勢いたことを忘れることはできません。
 また、当初の均等法は多くの女性達や労働組合関係者からは「実効性がない」「ザル法だ」という批判がありましたが、私は、「今はみにくいアヒルの子と後ろ指を指されているけれど、いずれ白鳥になる」と信じ、周囲にもそう話していました。そしてこの法律はその後の改正により今の姿になりました。これは法に後押しされた多くの働く女性達がそれを活かすべく意欲能力を発揮したことにより世の中が女性の力を経験知として認識した結果、法自体がさらに実効性のあるものへと高められたものであると思います。
 我が国の女性の地位は国際的には見劣りがすると言われていますが、均等法以後の女性の活躍ぶりには目を見張るものがあり、民間企業における役員も着実に増えています。若い方々には女性だからできないということはないという認識をもって自らの人生の道筋を描き、進んでいっていただきたいと心から祈念しています。
 本日はどうもありがとうございました

受賞者紹介

東京都出身。1964年、東京大学教養学部卒業後、労働省入省。1978年に婦人少年局(当時の呼称)に配属になって以降、働く女性に関わる多くの法律に関わり、課長補佐、企画官、課長では男女雇用機会均等法(以下、均等法と表記)の制定、施行(1986年)に取り組んだ。

均等法は激しい労使の対立があり、準備から施行までに8年8か月年月を費やした。婦人局長時代には、育児休業法、パートタイム労働法、介護休業法の制定、施行を担当した(1995年から育児・介護休業法)。介護休業法の制定にあたっては、均等法の制定時ほどではなかったにせよ「財界の非常に厳しい対応があった」と、後に述懐している。ILO156号条約(家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約)の批准も、局長時代に行なわれた。
 松原氏の後、女性労働事務次官は1人務めたが、女性事務次官は他省庁では誕生していない。省庁は依然、男性社会であるなか、松原氏の業績は津田梅子賞に相応しいと言える。

2022年度津田梅子賞贈賞式

 2022年10月9日(日)、津田梅子記念会&ホームカミングデーの中で津田梅子賞の贈賞式が行われました。
受賞者・松原亘子氏によるスピーチ
選考委員会と松原氏
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