2015年度「津田梅子賞」受賞者

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浅川 智恵子 氏
(IBM フェロー
日本IBM株式会社 東京基礎研究所)

このたびは、憧れの存在である津田梅子さんの名前を冠した賞をいただき、大変光栄です。私は、視覚障がい者のための情報アクセシビリティという、多くの方には馴染みのない分野で研究開発を続けてきました。その過程で多くのチャレンジがありましたが、「諦めないこと」をモットーに、家族や同僚の支援を得て乗り越えてくることができました。今回の受賞が、女性技術者、視覚障がい者の後輩たちへの励ましになればと願っています。

経歴

中学時代にプールでの怪我がもとで失明し自分に何ができるかを模索する日々を過ごす中、視覚障がい者でも情報処理の専門知識を学べることを知り、猛勉強の末、1985年日本IBM入社。IBM東京基礎研究所の研究員として、障がい者や高齢者を支援する情報アクセシビリティ技術分野において顕著な功績を上げている。1997年、視覚障がい者がパソコンを介してインターネットにアクセスする際、アクセス先のウェブページの内容を読み上げる世界で初めての実用的な視覚障がい者向けインターネット専用音声ブラウザ「ホームページ・リーダー」を開発。当技術はその後世界11ヶ国語で製品化され、世界の視覚障がい者の情報アクセスの手段を格段に向上するきっかけとなった。当時のユーザが寄せた「私にとってインターネットは社会に開かれた窓です」というコメントにもそのインパクトが表れている。現在もアクセシビリティ分野の研究を牽引し、現在はコグニティブ・コンピューティングという新しい学術分野におけるコグニティブ・アシスタンスなど、実社会における視覚障がい者の生活の質の向上を支援する技術の研究開発に取り組んでいる。
2004年には、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程を修了し、博士号を取得。2009年、情報処理学会から「音声ブラウザの開発とWEBアクセシビリティ技術普及への貢献」により平成20年度喜安記念業績賞を受賞した。2009年、技術的に優れた功績をあげた社員に与えられるIBM技術者の最高職位であるIBMフェローに日本人女性として初めて任命された。2011年、アメリカのAnita Borg Instituteよりテクノロジーへの顕著な貢献をした女性に与えられる “Women of Vision Award” が授与され、2013年には紫綬褒章を受章した。アクセシビリティという研究開発分野にもたらしたイノベーションに加え、日本のみならず世界中の情報科学技術分野の女性研究者のロールモデルとしても際立った業績を残している。

【略歴】

1985年
日本アイ・ビー・エム株式会社入社、IBM東京基礎研究所に配属
1997年
IBM ホームページ・リーダー開発
2003年
Women In Technology Internationalが選定する女性技術者の殿堂入り
2004年
Web Accessibility の評価ツール aDesigner開発
2004年
東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻 博士課程修了
2007年
IBM Distinguished Engineerに就任
2009年
IBM Fellowに就任、平成20年度喜安記念業績賞受賞
2011年
Anita Borg InstituteのWomen of Vision Award受賞
2013年
紫綬褒章受章

2015年度津田梅子賞贈賞式

2015年10月11日(日)、津田梅子記念会&ホームカミングデーの中で津田梅子賞の贈賞式が行われました。

受賞者・浅川智恵子氏によるスピーチ
選考委員会と浅川氏
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