2011年度「津田梅子賞」受賞者

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唐木 幸子氏
(オリンパス株式会社 研究開発センター
医療技術開発本部 診断技術開発部長)

この度は2011年津田梅子賞を頂き、身に余る光栄に存じます。一世紀余り前から、勇気と情熱と志ある女性の教育に尽くしてこられた津田塾大学に讃えていただいたことは、企業の研究開発に携わり、“仕事も家庭も子どもも”と精一杯の日々を過ごしてきた私にとって生涯の誇りです。男女雇用機会均等法も男女共同参画という取り組みもなかった時代に、理系女子の少数派として社会に出て、自分らしく努力して日々を過ごすことができた幸せを、今更ながら感じています。これから職業を持つ若い女性は、さらに多くの能力が求められることと思います。その幅広い活躍を支える環境作りに今後も貢献してまいりたく、心も新たにしています。

経歴

1978年、オリンパス光学工業株式会社(現オリンパス株式会社)に、同社初の女性研究員かつ初の生物学専攻の技術者として入社。ライフサイエンスの黎明期に基礎的バイオ技術を導入し、以後その確立・発展に尽力、医療ライフサイエンス研究を牽引してきた。産官学を交えた共同研究の主査として、世界初の実用的な遺伝子解析システム技術を構築した成果が認められ、2004年には日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー大賞を受賞。翌2005年には部長職に就き、新規技術を次々に発表した。現在も同社医療技術開発本部・診断技術開発部長として、生物学領域の研究者を率いて、革新的な技術開発を推進している。
一方、私生活では、超未熟児の長女出産時の体験を書いたノンフィクション『小さな小さなあなたを産んで』が第19回読売ヒューマン・ドキュメンタリー大賞優秀賞を受賞し、テレビドラマ化もされた。当該作品は、当時の日本における新生児集中医療の在り方を問う貴重な記録として、医療従事者からの評価も高 い。
精力的に女性研究者としてのキャリアを積み重ね、女性に管理職への道を拓くといった男女協同のパイオニアとしての功績や、超未熟児出産という厳しい体験を経てもなお、研究に邁進する前向きな姿勢は、後進の女性たちに影響を与え、現代社会における女性リーダーの育成にも大きく寄与するものである。さらに、研究者としての活動にとどまらず、自身の体験について執筆し、多くの女性に勇気を与え続けている取り組みは、まさにオールラウンドな活躍といえる。

【略歴】

1978年
金沢大学薬学部卒業
オリンパス光学工業株式会社(現オリンパス株式会社)入社
1981年
研究成果により、同社社長賞受賞
1985~86年
ジョンズ・ホプキンス大学医学部に派遣留学
帰国後に新バイオ研究棟創設
1988~93年
東京大学医科学研究所研究生として派遣、研究成果により社長賞受賞
1996年
医学博士号を取得(東京大学大学院医学系研究科)
1999年
『小さな小さなあなたを産んで』出版
2004年
日経ウーマンオブザイヤー大賞受賞
2005年
同社研究開発センター 基礎技術部長に就任
2005年~現在
文部科学省科学技術・学術審議会委員
2006年~10年
九州大学工学院非常勤講師
現在
同社研究開発センター医療技術開発本部 診断技術開発部長

オリンパス株式会社ニュースリリース
「研究開発センター・診断技術開発部長 唐木幸子 津田梅子賞を受賞」

2011年度津田梅子賞贈賞式

2011年10月9日(日)、津田梅子記念会&ホームカミングデーの中で津田梅子賞の贈賞式が行われました。

表彰状および目録授与
受賞者・唐木幸子氏による講演
選考委員会と唐木氏
ご推薦者・柳澤一向氏と共に
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