障害のある学生・参加者のための差別解消と包括的教育の基本方針

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 津田塾大学全学インクルーシブ委員会
20世紀の到来と同時に、わが国初の女子高等教育機関の一つとして建学されて以来、本学は、常に両性の真の共生実現の最前線に立ってきた。本学が100年の歴史を積み重ねた前世紀が、性別や国境を越えた平等への目覚めの時代であったとすれば、新世紀はその覚醒が、障害のある者にも波及し、「障害者をも含んだ共生文化の世紀」が到来しつつあるといえる。
「障害者の権利に関する条約 CONVENTION ON THE RIGHTS OF PERSONS WITH DISABILITIES※」では、「全ての障害者によるあらゆる人権および基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、および確保すること」が希求され、特に一章を設け「障害のある女子が全ての人権および基本的自由を完全かつ平等に享有すること」を明示している。これらの理想は、公正で多様な共生社会の建設をめざすという、本学の理念と共鳴しよう。
本学は、以上の理念に基づき、障害のある者、特に女性が、社会を担い活躍するための教育を提供し、包摂されるための共生社会を築く人材を育成する責務があることを強く自覚し、以下のような方針を定める。

1 基本的な考え方

(目的)
1 本学は、高等教育機関の社会的責務として、また本学の建学の精神に基づき、障害のある学生および参加者にたいして、その学ぶ機会を保障し、包括的な教育を実施する。
(2) 前項の実施のために、本学におけるすべての授業は、この方針における包括的な教育を妨げるかたちで実施されてはならない。
(対象)
2 この方針における障害者とは、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者、即ち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害および社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとする。
(2) この方針は、本学における教育および研究、また、その他の関連する活動全般において、そこに関与する学生および参加者すべてを対象とする。この場合の参加者は、本学が主催ないしは共催する講演会、イベント等の受講者、および教職員の実施する実習、調査ならびに実験等の参加者を含む。ただし、障害のある教職員、および障害のある学生を労働者として雇用した場合の、障害を理由とする差別を解消するための措置については、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下 解消法)第13条により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)に従って定められた、本学の諸規定に従う。

(障害の表記)
3 本学における「障害」の表記は、その表記法に様々な議論があるところを認めつつ、解消法および内閣府『「障害」の表記に関する検討結果について』における検討を踏まえ、慣例および法律上の表記に従い「障害」とする。
(2) 前項の表記は、いわゆる「社会モデル」の考え方に基づき、障害が社会的に構築される問題であって、安易に書き換えず慎重に議論され続けるべきという高等教育機関の立場によるものであって、教職員および学生が各自の学術的な立場によって異なった表記をすることは、妨げない。

2 教育の機会の保障

(不当な差別的取扱いの禁止)
4 教職員は、解消法第4条に基づき、すべての障害者に対して、不当な差別的取扱いをしてはならない。

(合理的配慮の提供)
5 教職員は、解消法第5条に基づき、障害のある学生および参加者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、その権利利益を侵害しないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をしなければならない。
(2) 教職員は、障害者に提供する合理的配慮について、障害の状態や環境等が変化することにあわせて、適時、見直しを行うことに努めることとする。
(3) 本学の状況に応じて過重な負担が生じる場合は具体的な場面や状況に応じて総合的・客観的に判断して、必要に応じて障害者にその理由を説明するものとし、理解をえるよう努める。

3 支援体制

(支援体制の設置)
6 本学は、解消法第14条に基づき、障害者およびその家族その他の関係者からの相談に的確に応じ、包括的な教育を実施するために、以下の組織を置く。
1. 全学インクルーシブ委員会 (以下 委員会)
2. 障害学生支援相談員 (以下 相談員)
3. インクルーシブ教育支援室 (以下 IES)
(2) 委員会は、障害を理由とした差別の解消推進の監督、および包括的な教育実施、環境整備に関する全体の指導をおこない、その責任を担う。
(3) 相談員は、各部局において障害を理由とした差別に関する相談や、合理的配慮の申し出を受け付け、関係部局と連携してそれに対応する。
(4) IESは委員会の指導のもと、専門的見地から、相談員と連携して配慮の合理性と内容を検討し、その実施をおこなう。
(5) 本学は上記の支援体制およびその運営に際し、障害のある教職員や学生が積極的に参画できるよう努める。
(紛争に関する相談体制の設置)
7 本学は、解消法第14条の規定に基づき、障害を理由とする差別(正当な理由のない不当な差別取り扱い、合理的配慮の不提供等)に関する紛争の防止又は解決を図るための委員会を、下記のとおり指定する。
1. 委員会
2. 第三者委員会
(2) 前項に関する、委員会および第三者委員会の役割については、委員会が別に定める。

(キャンパスの整備)
8 本学のキャンパスは、障害のある学生および参加者に、包括的な教育を保障するように、整備されるものとする。

(研修と啓発)
9 本学は、障害のある学生および参加者への良質の包括的な教育を提供し、障害を理由とする差別の解消の推進を図るために、教職員および支援に携わる学生ボランティア等向けの研修の機会を用意する。

(情報公開)
10 本学は、障害のある大学進学希望者や学内の障害のある学生に対して、本学の方針や支援体制、配慮事例およびキャンパスのアクセスマップ等を、広報手段やインターネット等を積極的に用いて、公開することとする。

4 そのほか

(関係者への適用)
11 本方針は、それぞれの規定の目的等に応じ、来学者、派遣先、および本学と職務上の関係を有する者等に準用する。

(見直しと改定) 12 本学は、技術の進展、社会情勢の変化等が、合理的配慮の内容や程度等に大きな進展をもたらすとともに、実施に伴う負担を軽減し得ることを鑑み、必要に応じて本方針を見直し、適時、充実を図るものとする。この際には、不当な差別的取り扱いおよび合理的配慮の具体例の集積等を踏まえるとともに、国際的な動向も勘案し、内容の修正を図る。また、法および対応指針の見直し時に併せ、本方針も見直すものとする。
(2) 本方針の改定は、委員会の勧告にもとづき、学長が決定する。

※ 総会採択日:2006年12月13日、日本政府署名日:2007年9月28日
2016年4月1日 制定
2017年8月30日 改定
以上
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