教職員著作・制作物

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2024年の著作・制作物

※本学教職員の所属・職位は発行当時のものです。

言語、文化の狭間(あいだ)で- 歴史における翻訳

平田雅博、原聖、割田聖史 編/岡本真希子(国際関係学科教授)分担執筆(第5章)

 
本書は、「翻訳」を歴史的な事象の中でとらえ直していくことを目的とするものである。
歴史学的に「翻訳」を考えるメリットは、歴史的な知見・研究史に照らして、翻訳を取り巻く長期的諸条件をより俯瞰的に見ていくことを可能にする点にあるといえるだろう。

頭上運搬を追って—失われゆく身体技法

三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授)著

 
今の日本では、ほぼ失われつつある身体技法「頭上運搬」。かつては日本各地で行われており、高齢の方の中にはその記憶をとどめている人もいる。経験した方は、「誰でもできた」「やろうと思えばできる」と言う。しかし、他の身体技法や知恵と呼ばれるものと同様、その経験が三世代も途切れると、後の世代には想像もつかないものとなる。
ある身体技法ができる、ということはどういうことか。なぜできるようになるのか、なぜできなくなるのか。それをしていた頃としなくなってからの、自らの身体への理解や意識に差はあるのか。
本書では、沖縄や伊豆諸島をはじめ日本各地や海外に頭上運搬の記憶を痕跡を訪ねる。話題は生活と労働を支えていた身体技法へと広がる。

戦後民主主義の革新 
 1970~80年代ヨーロッパにおける政治変容の政治史的検討

網谷龍介(国際関係学科教授)編

 
人権、ジェンダー平等、地域分権、自治——。

デモクラシーはどのようにして「リベラルな」デモクラシーになったのか。1970~80年代の西欧諸国に起きた政治変容の分析を通じて、「リベラル・デモクラシー」の起源を探る。

アメリカ文学にみる女性の教育

野口啓子 (英語英文学科教授)、池野みさお(英語英文学科教授)、 山口ヨシ子 編著

 
アメリカ独立革命後の建国期〜20世紀の転換期にかけて、女性作家12名の作品を取り上げ、「女性の教育」をテーマにアメリカ文学を解読する。

──家庭や社会で、女性は何を学び取っていったのか、作家たちは女性読者をどのように啓発し、導こうとしたのか──

ハナ・ウェブスター・フォスター、マライア・W・スチュアート、E. D. E. N. サウスワース、マリア・スザンナ・カミンズ、アン・スティーヴンズ、ハリエット・ジェイコブズ、オルコット、シャーロット・P・ギルマン、ケイト・ショパン、イーディス・ウォートン、バーネット、ウィラ・キャザー

六〇代は、きものに誘われて

三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授)著

 
艶やかさと落ち着きと──「今が、きもの適齢期」

毎日袖を通して20年。
琉球絣、久米島紬、ミンサー帯、藍型……沖縄の織や布に惹かれて、ついには移住。
──新しい人生がいま始まる。

40代の半ばから袖を通して20年。毎日きもので教壇に立っていた。

空気の層を纏うように着るのは心地いい。
洋服は体型の維持や年相応のおしゃれに悩むけど、きものなら歳を重ねるほど自分にフィットし、落ち着きをもたせてくれる。

琉球絣、結城紬、能登上布、大島紬などの自然素材を求め、ミンサー帯や藍型、うしんちー行き着いた。
──きものに惹かれて、縁を重ねる、60代からの新しい人生。

2023年の著作・制作物

※本学教職員の所属・職位は発行当時のものです。

百首でよむ「源氏物語」 和歌でたどる五十四帖

木村朗子(多文化・国際協力学科教授)著


今から約1000年前に執筆された『源氏物語』。その作者である紫式部は歌人でもあった。『源氏物語』には795首の和歌が含まれており、それらは登場人物のパーソナリティーをうまくとらえている。本書はそのなかから100首の和歌を厳選し、現代語訳、意図などをわかりやすく解説。『源氏物語』の原文や現代語訳を読むときに手元に置いておきたい1冊。

紫式部と男たち

木村朗子(多文化・国際協力学科教授)著

物語が女の人生を照らし、男たちの政治をも動かす——。

宮廷を中心に文学が花開いた平安時代。
壮大な人間ドラマ『源氏物語』はいかにして書かれ、どう読まれたか?
セクシュアリティと権力の観点から平安文学を読み解いてきた日本文学研究者が、紫式部と同時代を生きた男たちの実像を通してその歴史を描き出す。

気はやさしくて力持ち ——子育てをめぐる往復書簡

内田樹、三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授) 共著

男手で女の子を育てた内田先生と、女手で男の子を育てた三砂先生。共に「離婚して子どもを育てた親」であるふたりによる、誰も書かなかった子育て論。最優先にされるべきは、「子どもに対して敬意を以て接すること」。いまの時代にあわせてアップデートされた、旧くてあたらしい子育て論にして、すべての子育て中の親たちと、育てられ中の子どもたちへ贈る、あたたかなエール。

高校生と考える 21世紀の突破口

三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授) ほか 共著

ウクライナ紛争、移民、気候変動、環境問題、食料危機、AI時代の到来。
危機と停滞の時代に生きる私たちが身につけるべき視座とは?
各分野の最先端で活躍する講師陣が、高校生に向けて語った全21回の講義を収録。

ヒトはどこからきたのか サバンナと森の類人猿から

伊谷原一、三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授) 著

〈七〇〇万年前、共通の祖先からヒトと類人猿は分かれた〉
ヒトと類人猿の差はなんなのか? そして、ヒトとはなにか。──霊長類学の本質と未来を語るサイエンス対談

「ヒトはなぜ二足歩行をはじめたのか?」「ヒトはどこで誕生したのか?」
京都大学から始まった〈霊長類学〉は、ヒトと類人猿との違いを見ることでヒトの本質を明かそうとしてきた。

今西錦司、伊谷純一郎、河合雅雄など、綺羅星のように現れた霊長類研究者たちの軌跡を、霊長類研究者であり、伊谷純一郎の息子である伊谷原一が語る。
話を聞き出していくのは、人間の出産をテーマとしてきた疫学者の三砂ちづる。

アフリカでのフィールドワークや日本でのチンパンジーの集団飼育……人類学としての霊長類学を大胆に俯瞰するサイエンス読み物。

貨幣の窮極にあるもの

津曲俊英(総合政策学科教授) 著

貨幣とは何か
貨幣はどこから来るのか
貨幣が機能する条件とは?
ビットコインは貨幣なのか
  • 貨幣発生の契機や機能を深掘りし、貨幣が実用に耐えるための仕組み・工夫に迫る。
  • アメリカや日本の歴史をたどるとともに、貨幣の偽造問題や、暗号資産(仮想通貨)、中央銀行デジタル通貨(CBDC)などのデジタルマネーについても考察。
  • 日銀券の改刷(2004年)を担当した著者が考える「貨幣の窮極にあるもの」とは? 貨幣のベールを剥がす道筋を示す。

死ぬことと、生きること~キューブラー・ロスをめぐる対話~

山崎章郎、上野創、早川敦子(英語英文学科教授) 著

『病院で死ぬということ』(主婦の友社、文春文庫)、『「在宅ホスピス」という仕組み』(新潮選書)等の著作、さらには実際の医療活動を通じて、終末期医療に一石を投じてきた緩和ケア医・山崎章郎。
4年前、自らも大腸がん(ステージ4)の宣告を受けながら、今も抗がん剤に頼らない、QOLを維持した療法への探求を続けている。

自身もがんサバイバーでもある朝日新聞社記者・上野創を聞き手として行われた対話のテーマは「逆境を、創造を灯す光に」。
山崎の「人生を変えた一冊」、精神医学者・E・キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間:死にゆく人々との対話』(読売新聞社)を引きながら、死をはじめとする逆境に直面したとき、別の輝きを帯びはじめる生の力について語る。

津田塾大学教授・早川敦子によるE・キューブラー・ロス、エヴァ・ホフマンらの評伝「時を超える希いに耳を澄ます」も収録。
影のなかにあって光を見出した、時代を超える人々の生きざまに胸揺さぶられる一冊。

2022年の著作・制作物

※本学教職員の所属・職位は発行当時のものです。

Harriet Beecher Stowe and Antislavery Literature: Another American Renaissance

野口啓子(英語英文学科)著

ストウ『アンクル・トムの小屋』を中心にアメリカ文学における反奴隷制文学の系譜を考察。
19世紀中葉に隆盛をきわめた反奴隷制文学が一時的現象ではなく、それ以降のアメリカ現代文学にも継承されたことを論じる。全文英文。

ケアリング・ストーリー

三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授)著

ブラジルで子どもを育て、日本で父を介護し、夫を看取った疫学研究者が、人生の後半に綴るエッセイ。「父の元気なときは、これ食べすぎちゃ『からだにわるいよ』と言い、認知症になってなにもわからなくなってからは、食べないと『からだにわるいよ』と言ってしまう娘は、どうすればよかったんだろう、と、いまも、わからない」。介護や看取り、家族や夫婦の関係などを、国際母子保健の世界を渡り歩いた経験を交えて浮き彫りにする。誰かを気にかけたり、大切に思うこと=「ケアリング」という言葉から広がった25篇のストーリー。

津田梅子: 女子教育を拓く

高橋裕子(英語英文学科教授) 著

1871年、使節団とともに、女子留学生の一員として渡米した津田梅子は、11年間かの地で教育を受け帰国。その成果を日本の女性のために役立てたいと願うが・・・・・・。日本の女子教育のパイオニアであり、シスターフッドを体現した津田梅子の足跡を、その内面や思索にも迫りつつ、最新の研究成果・豊富な資料をもとに解説する。

平安貴族サバイバル

木村朗子(多文化・国際協力学科教授)著

和歌を詠んだり楽器を奏でたり、恋愛に一喜一憂したりと、優雅な毎日を送っているように見える平安時代の貴族たち。しかし実際は、セルフプロデュースやコミュニケーションのスキルがないと生き残れない過酷な世界で、様々な戦略を駆使してサバイバルを図っていた。
実務能力より見た目とセンスの男社会、教養を武器に女主人をサポートしたエージェント=女房、天皇の縁戚になるという一大プロジェクトにまつわる悲喜こもごも、乱れ飛ぶ愛情と呪詛……。そこには、ジェンダーやルッキズム、シスターフッドといった現代にも通ずる問題も。
本書では古典文学だけでなく女性学などにも詳しい著者が、そんな弱肉強食な世界に翻弄されながらも意外とアグレッシブに生きた人たちの軌跡を、史実と文学作品をもとに解説。歴史や古典文学への理解を深めるとともに、現代にも通じる人の生き様や心の動きを浮かび上がらせる。

セルタンとリトラル ブラジルの10年

三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授)著

世界地図を広げるとブラジルの面積は広大であることがわかる。日本からの移民も多く、ポルトガル語が公用語であることもよく知られている。北西部のアマゾンの森、南部のリオ・デ・ジャネイロ、サン・パウロなどとは風土がまったく異なる北東部ノルデステで、公衆衛生学者として10年間暮らして体感し思索した深みのあるノンフィクションである。
いわゆる「近代化」を拒む独特な風土を、著者独自の観察眼でユーモアを混じえて語り、命、美、死の受容、言葉以前の話など多くの示唆に富んだ出色の文化人類学的エッセイ。

女子大で和歌をよむ —うたを自由によむ方法—

木村朗子(多文化・国際協力学科教授)著

宮廷物語とは57577で織りなすミュージカルである
日常的に歌を送り合っていた時代。人びとはあらゆる気持ちの高ぶりを和歌にしていた。だからこそ物語にも日記にもさらには神話にも和歌は必須のものだったのだ。『源氏物語』『伊勢物語』『和泉式部日記』、さらには現代短歌にも立ち寄りながら、三十一文字の「ことば」が育んできた驚異の文化を、あますところなく伝える魅惑の講義。

女に産土はいらない

三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授)著

「女」にとってのふるさととは? かつて踏んだ地、人との出会い、さまざまな縁によって紡がれてゆく人生。血縁・地縁を離れた先で、暮らしを立て整えてきた女たちの、たしかなしたたかな姿。ともすれば近代の無みした、祈りと献身に連なる女性性を、鮮やかにあたたかに語りなおす。人が深い力を宿す時、そこにはなにがあっただろうか。

2021年の著作・制作物

※本学教職員の所属・職位は発行当時のものです。

現代アメリカ社会を知るための63章【2020年代】

明石紀雄 監修
大類久恵(英語英文学科教授) ほか 編著
高橋裕子(英語英文学科教授)・宮井勢都子(言語文化研究所特任研究員)ほか 共著

世界に影響を及ぼしたトランプ旋風は止んだ。そのときアメリカで何が起きていたのか。台頭する中国との経済関係、噴出する根深い人種差別問題やグローバルに展開したBLM運動、ジェンダー平等への動き、国民の分断など、超大国アメリカの今後を知るために外せない63テーマを集成。

アメリカ黒人女性とフェミニズム

ベル・フックス 著
大類久恵(英語英文学科教授) 監訳

黒人女性が受けた人種差別と性差別という二重の抑圧を告発し、中産階級の白人女性を偏重してきたフェミニズムに一石を投じる。「女性」が一枚岩でないこと、階級と人種をも考察すべきであることを指摘し、フェミニズムのその後の方向性に影響を与えた古典的名著。

チリンでんしゃ

大原悦子(ライティングセンター客員教授) 文
村田エミコ 絵

チリンチリン! キリンの車掌さんは鈴を持って大忙し。

男の子が大好きなおばあちゃんと一緒に電車に乗って動物園に行く物語。お弁当に水筒、お菓子を持っていざ出発。ところが、電車がトンネルに入ったとき、チリンチリンと鈴を鳴らして現れたのは、キリンの車掌さん。トンネルを抜けたところで運転室を覗くと、運転士は何とゾウさんに! さらに、さっきまで車内にいた乗客はいろいろな動物に変身している。動物園に行く子どものわくわく感が、ファンタジーに昇華された絵本。

Stochastic Optimal Transportation
Stochastic Control with Fixed Marginals

三上 敏夫(数学科教授)

Shows the SOT problem to be partly the generalization of the OT problem and partly Schrödinger's problem
Explains fundamental results of the stochastic optimal transportation problem, including duality theorem
Encompasses the zero-noise limit, the Lipschitz continuity, and the semiconcavity of Schrödinger's problem

小学校英語に児童文学を

吉田真理子(英語英文学科教授)、佐藤佳子、執行智子 著

子どもの外国語(英語)学習に、なぜ「児童文学」が適しているのか。本物の文学作品がもつ、ことば、リズム、物語の構造などから検討する。Twinkle, twinkle, little star、『不思議の国のアリス』、エリック・カール絵本など、教材として使われる英米児童文学作品の背景知識、授業例も紹介。

ヨーロッパ・デモクラシーの論点

伊藤武、網谷龍介(国際関係学科教授) 編

ポピュリズムの台頭、ユーロ危機、イギリスのEU脱退、難民危機——。危機と刷新の中のヨーロッパ・デモクラシーをテーマ別に解説。
 

妄想古典教室-欲望で読み解く日本美術-

木村朗子(多文化・国際協力学科教授)著

 
古典も仏像も絵巻も、すべては妄想から読み解くべし
ときに鳥のように空を飛んで地上を俯瞰し、夢のなかで美しい神仏と遊び、突拍子もない伝説や思わず笑ってしまう縁起がそこかしこにある世界。それが古代中世の人びとの世界だった。物語、絵巻、仏像などを当時の人たちの妄想をキーワードに読み解き、その豊穣な世界をあきらかにする。文学、美術史、宗教学、歴史学の垣根を飛び越え、ジェンダーやセクシュアリティの視座もふまえて、異色の国文学者が描きだす怪しくも魅惑的なほんとうの古代中世の世界。

世界文学としての〈震災後文学〉

木村朗子(多文化・国際協力学科教授)ほか 編著

あれから10年。世界には、あの日と向きあい続ける文学者たちがいる。3.11によって文学の何が変わり、震災前はいかに読み替えられうるのか。大惨事を経て、それでも新たな力を獲得する「世界文学」としての視座から、あの経験の現在性を問い返す。

計画なき調整
戦後西ドイツ政治経済体制と経済民主化構想

網谷龍介(国際関係学科教授) 著

戦後ドイツの政治経済体制はなぜ、どのようなプロセスを経て形成されたのか。コーポラティズム的秩序構想を含んだ労働運動主導の「経済民主化構想」の消長を跡づけることによりそのプロセスを明らかにし、ドイツ政治経済の構造的特質を浮き彫りにする。

科学的根拠から考える 助産の本質

三砂ちづる(多文化・国際協力学科教授)編

人間の生理学的プロセスを重視した助産とは何か
助産師が、母子にとって最良の助産ケアを提供するためには、「助産の本質」を自らの軸としてもつことが欠かせない。疫学、助産、母性保健、国際保健医療、民俗学を専門とする筆者らが、科学的根拠から助産の本質とは何かを語る。


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