「水引」の魅力を、もっと多くの人に。
地域の課題解決へとつながる津田塾での学び。

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中䑓 有紀 NAKADAI Yuki

総合政策学部 総合政策学科 3年

総合政策学部に入学後、津田塾大学と長野県飯田市による地域連携活動に参加し、伝統工芸である「水引」をはじめとした地域の魅力を伝えるプロジェクトで活躍。学園祭でのワークショップやSNSを通じた発信、物販などを牽引してきました。大学内外の多様な関係者を巻き込みながらプロジェクトを進める過程では、学科の学びで身につけた課題解決能力が活かされたと語る中䑓さん。その舞台裏と活動を通じた学びについて伺いました。

少人数の環境は、想像以上にアットホーム

津田塾を志望した理由をお聞かせください。
少人数教育に惹かれたことです。高校時代は、授業中にわからないことがあっても、大人数の中では質問しづらい雰囲気がありました。少人数教育を掲げる津田塾でなら、先生が学生ひとりひとりをていねいに見てくださるのではないかと思ったのです。なかでも総合政策学部を選んだ理由は、技術革新の著しい世の中で、データ・サイエンスを学ぶことに興味があったから。データ・サイエンスを身につければ、社会に出たときの武器になるとも思いました。都会にありながら落ち着いている千駄ヶ谷キャンパスの雰囲気にも魅せられ、入学を決めるに至ります。
実際に入学して、どのような気づきがありましたか。
少人数教育のよさは想像以上でした。疑問に思うことがあればすぐに質問できます。発言すると、先生はまずは肯定してくれて、別の視点も示してくれます。「間違っていたらどうしよう」と躊躇することはなくなりました。クラスメイトとの距離が近いのも少人数クラスのよさです。授業はアットホームな雰囲気で、課題もクラスメイトたちと教え合いながら取り組めます。もうひとつ、入学して感じたのは女子大ならではの魅力です。リーダーシップを発揮できる機会が多く、ロールモデルとなる素敵なOGの方々とも出会うことができました。


メディアの意図や人の行動を、データから読み解く

印象に残っている授業は何ですか。
「キャリア入門A」の授業です。この授業では、朝日新聞の記者の方が講師となり、情報の扱い方や、一次情報へのアクセスの仕方についてレクチャーしてくださいました。テーマはジェンダーや社会課題など、多岐にわたります。これらについて、実際の記事の根拠となっている一次情報にアクセスし、記事になるまでにどのように情報が編集されているかを検証しました。この授業を通じて知ったのは、メディアで取り上げられるのは、ほんの一握りの選ばれた情報に過ぎないということ。その裏には記事にならない膨大な情報があります。メディアの情報を見極める感覚が身につきました。

もうひとつ、印象に残っているのは「実証政治理論」の授業です。これは選挙の出口調査や投票率などのデータをもとに、統計学を用いて人びとの政治行動を分析する授業。一見、脈絡がないように思える人の行動を定量的に把握できるところが新鮮でした。完成した記事から一次データを辿っていくのが「キャリア入門A」なら、この「実証政治理論」は、一次データを起点にしてさまざまな考察を加える。データを読み解く目が養われました。

「水引」をテーマに、地域の活性化を目指す

津田塾と飯田市による地域連携活動に参加されています。この活動の概要と、参加のきっかけを教えていただけますか。
津田塾と飯田市が地域連携協定を結び、もともとは人形劇文化の発信を主な取り組み内容としていました。交流を重ねてからは、飯田市の伝統工芸である水引をテーマとして、飯田市の地域活性化を目指したプロジェクトが始まりました。私が参加したきっかけは、新入生歓迎会です。小学生の頃から地元の夏祭りや清掃活動などに参加して地域の方々とコミュニケーションをとるのが楽しくて、大学でも地域交流に携わりたいと思っていたところ、この活動の存在を知りました。シンプルな紐から自由自在に立体物を作れる。そんな水引の奥深さにも魅力を感じたものです。

1年生の頃は、コロナ禍で活動制限を受けたものの、11月の津田ヶ谷祭(千駄ヶ谷キャンパスで催される学園祭)で水引ワークショップを実施。オンラインと対面のハイブリッド形式で行いました。飯田市の職人さんとリモートで繋がり、水引の作り方についてレクチャーしてもらいながら、私たちプロジェクトメンバーが対面で参加者をサポートしつつ、水引を手作りしてもらう方法です。水引に触れたことがなかった方にも、まずは知ってもらう機会になったと思います。2年次には車椅子のホイールにつける水引のアクセサリー「Me’s」の開発や、SNSで水引の魅力を発信する活動もスタートしました。


粘り強く対話する。これが成功の秘訣

活動の中で、最も印象に残っていることはなんですか。
2年次の津田ヶ谷祭で水引の商品を販売したことです。それまで行っていた水引の手作り体験のワークショップでは、限られた時間内で簡単なものしか作れず、水引の魅力を十分に伝えきれないという課題がありました。ここから生まれたのが、多様な水引の商品を販売するというアイデアです。クリスマス用のオーナメントやバッグの内ポケットにつけるクリップなどさまざまなアイテムを販売しました。訪れたお客さんからは「水引からこんなアイテムも作れるんだ」という驚きの声も。水引をいっそう身近に感じていただけたと思います。自ら課題を発見し、解決に向けてアイデアを出し合い、実行する。総合政策学科での学びを実践できました。
活動を通じて心がけていたことはありますか。
細やかなコミュニケーションを怠らないことです。水引のプロジェクトでは、飯田市の水引職人さん、自治体の方、大学生協など関係者は多岐にわたります。たくさんの関係者と頻繁にコミュニケーションをとる中で、ていねいに認識を擦り合わせなければ完成品がイメージと違っているといった失敗に陥りかねません。そこで、少しでも疑問に思うことがあったら、双方の認識が一致するまで粘り強く対話するよう心がけました。こうすることで、関係者が増えてもプロジェクトは着実に前に進んでいく。それを肌で知ったのもこのときです。

活動の幅の広がりは、津田塾のサポートがあってこそ

津田塾で地域連携活動をすることの意義は何でしょうか。
活動の幅が、格段に広がることです。津田塾の幅広いネットワークを使うことで、飯田市の水引の担い手とつながれましたし、完成した水引を学園祭や大学生協で販売する機会も得られました。プロジェクトを進める上での些細な疑問も先生方や担当職員の方々に気軽に相談できたのは心強かったです。大学のネットワークと知見を活用しながら、大規模にプロジェクトを推進できる。津田塾のサポートがあるからこそ可能なのだと思います。また、総合政策学科での学びを活かして主体的に問いを設定し、課題を解決するプロセスを実践しつつ、地域振興の力になれることにも意義があると感じます。
今後の展望について教えてください。
日本にとどまらず、海外の方にも水引の魅力をもっと伝えていきたいです。そのために、現在は国際空港での水引のワークショップの開催を検討したり、英語版の水引パンフレットの制作を行ったりしています。これまでの水引のプロジェクトの経験のみならず、津田塾で身につけた英語力も活きてくるはずです。

このプロジェクトを通じて得た大きな収穫は、水引を切り口にした自分たちの活動が、地域の活性化という課題解決につながっていくという実感をもてたこと。卒業後も自分の「好きなこと」を起点として、社会課題を解決できる仕事に邁進できたら理想的です。「やりたい」と思ったことを皆が肯定してくれるだけでなく、実行できる。そんな環境を与えてくれる津田塾に、心から感謝しています。
※学年は取材当時のものです。
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