第21回 学生スタッフレポート

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選択の自由と枠 ~発達障害のある4人の子どもを育てる中で~

堀内 祐子 氏(自閉症スペクトラム支援士、特別支援士、傾聴心理士、ゆるみ☆子育て代表)

皆さん、ごきげんよう。

「総合2022」第21回、12月1日(木)の講演は、発達障害を持つ4人の子どもを育て、自身も自閉症スペクトラム支援士、特別支援士、傾聴支援士の資格を持ち、近年は、ゆるみ☆子育ての代表として活躍されている堀内祐子さんにお越しいただきました。また、長男の堀内謙人さんにもご登壇いただきました。普段は子育てに困っている人に向けて、全国各地で講演を開いていらっしゃるという堀内さんが、今回は「選択の自由と枠〜発達障害のある4人の子どもを育てる中で〜」というテーマで学生に向けてお話しくださいました。

「本人の意思を尊重し選択の自由を与えることだ」

堀内家の教育方針で一番大事にしていることについてこう語り、その原点は自身の人生にあると堀内さんは言います。物凄く自分を否定する父と、肯定する母親に育てられ、父親から「お前は社会の役に立たないダメなやつだ」という自分自身の存在価値を否定するような言葉を浴びることも多く、その度に自信を失い、生きる気力を奪われたそうです。そんな時、𠮟ることはあっても、人格否定をしたことは一度もなかった母の優しさに救われたと言います。

生きることの意味を何度も失いかけたが、それでも今こうして生きていられるのは、自身を肯定し続けてくれた母の教育が勝ったのだと堀内さんは感じたそうです。そうした自身の経験から、堀内さんの子育てのベースは、「本人の意思を尊重して出来る限り肯定すること」になっていきました。

一方で、選択の自由を持つことは責任を伴います。このことを、謙人さんの100円の使い方のエピソードを交えながら、堀内さんはお話してくださいました。自分が選んだことは誰のせいにもできないから、選ばなかった方への迷いや後悔から気持ちを切り替えることができるという良さがあることを教えてくださいました。

また、堀内さんが子育てを通して得た発見のひとつに、枠があった方が生きやすいこともあるということがあります。謙人さんの携帯電話の使い過ぎが発覚したことにより、家族で話し合いをしたことがあったそうです。そこで得た気づきは、無制限にやって良いと言われてしまうと難しく、制限という枠がある程度設けられてその中でやって良いと言われたら謙人さんにとっては動きやすいということです。枠でがんじがらめになっていると自由がほしいと思うものの、いざ無制限にやって良いと言われ自由を手にしたとき、何をしたらいいのかわからないと思う経験は皆さんもあるのではないでしょうか。私はこのお話を通して、枠がある程度設けられた中で動く方が良いという考えは謙人さんだけではなく、誰にでもある感覚ではないかと感じました。

講演を通して堀内さんがポジティブな言葉を発し続けていたことが印象的で、発する言葉には力強さがありました。その力強さは、堀内さんが覚悟を持ってやりたいことや子育てに向き合ってきたからこそ宿るものだと感じました。覚悟を持って成し遂げたいことは何か、自分と向き合う機会を持てるような講演でした。
国際関係学科1年 ひまわり
国際関係学科4年 あじさい

コメントシートより

  • 堀内さんの子育てやお子さんとの接し方から、自分の選択の大切さや責任を取ることの大切さ、枠を設けることのメリットなど様々なことを教えていただきました。特に謙人さんが自分自身で選択し考えることの大切さについて、実体験を交えながらとても興味深かったです。
  • 私は堀内さんたちのように「枠」についてこんなにも真剣に考えたことがなかったため、「枠」に対しての自分の向き合い方を考えるとても良い機会となった。人は一人一人様々で、「枠」を必要としている人もいれば、必要としていない人もいるということに改めて気付かされた。
  • 選択肢を与えることがとても大切であるということを学んだ。障害を持っているいないにかかわらず、誰かからこうしないさい、と言われることは自分の意思ではないため、あまり良い気持ちがしないだろう。それに比べ、選択肢があることで、その選択に対し自分で意思決定をし、主体的に行うことができるため、お互いに嫌な気持ちをせずに物事が進むと感じた。
    また、意識が伝わるという言葉が印象に残った。確かに、本心がこもっていない言葉であったり、思っていることとは逆のことを言われている時の雰囲気は伝わってしまうと考える。そのため、否定的に捉えるのではなく、何事もポジティブに捉えることで、そうした意識が相手にも伝わり、お互いにより良い信頼関係を築くことができるのではないかと気がついた。
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