第8回 学生スタッフレポート

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JUMP~早期退職。漂流しかかったら有楽町で限界集落に出会って、人生見つめ直した件~

渡邉 泰治 氏(新潟県魚沼市 地域おこし協力隊)

「総合2019」第8回では、新潟県魚沼市 地域おこし協力隊 渡邉泰治さんに来ていただきました。渡邉さんは30年間大手広告代理店の電通に勤め、2015年早期退職。その後、新潟県魚沼市 地域おこし協力隊としてよこね米のブランド化に携わっています。企業勤めで得たスキルや経験を生かし、今はで地域おこしの一翼を担うという経験から見えてきたものとは、一体何なのでしょうか。

初めて私が渡邉さんと連絡を取ったのは今年の2月のことでした。電話での打ち合わせを通し、講演内容に関して詳しく説明してくださるだけでなく、こちらの説明不足な点を指摘してくださるその様子は「これが元“電通マン”か…」と思わしめるのに十分でした。魚沼の人たちがなぜ「渡邉さんに仕事を取られる」と警戒していたのかが腑に落ちた瞬間でもありました。講演前はかなり緊張していた様子だったものの、いざ講演が始まると言葉の節々から落ち着きと聡明さが感じられ、この人は数々の修羅場を潜り抜けてきたんだと恐れ入るばかりです。

そんな渡邉さんは今回、早期退職をしてからの暮らしぶりや魚沼市横根での活動を紹介してくださいました。活動の中でいちばん興味深かったのが、米のブランド化についてです。魚沼と聞くと皆さん米作りをイメージすると思いますが、渡邉さんが行うのは、横根のお米に米のブランド化についての活動です。例えば、都会の人にも買ってもらえるよう小分け袋にして米を売り出したり、会社の新人研修として田植えを行うなどをして横根の地を盛り上げていこうとなさっています。長年企業で培ってきた企画力やアイディア力を生かして横根に新たな風を吹かせている渡邉さんの活動を見ると、あらゆる経験が結びついて今を作り上げているのだと実感できました。

最後に、渡邉さんからある宿題が出されました。渡邉さんは「切り株のようになりなさい」と言います。切り株…? 講演中はピンとくるような来ないような歯がゆい気持ちになりましたが、心でその言葉を反芻するうちにじわじわと分かってくるような気がします。私たちは様々なコミュニティーで生きており、そこに何かしらのカタチで貢献したり影響を及ぼしたりして毎日を送っています。しかし、時には自分の存在を正当化するために肩書や経歴を駆使して自己を理想にすり合わせようとします。渡邉さんはこの状況を自己のブランド化と言いました。自分の理想を高く見上げていると、本質が見えなくなっていつか足元を掬われる、自分は「何者」にもなれないし、なった気になるのはいちばん危険なことなんだと。理想を追い求めて背伸びするのではなく、しっかりと根を下ろして低姿勢で、ありのままの自分を受け入れていくことが大切であると教えてくださいました。

これから就活をすることになる私にとってこの言葉は耳が痛い限りです。私も就活戦争の中で自分を見失う時があるかもしれない、いやすでに本来の自分はどこかに埋もれてしまっているかもしれないと思いました。渡邉さんから出されたこの宿題は心にとどめておきたいと思います。 

国際関係学科3年 ごてんちゃん

コメントシートより

  •  セカンドライフについて考えたことがありませんでしたが、会社で働くことだけがすべてじゃないと考えさせられました。
  • 人生いつどこでどのような出会いがあるかわからないから、1つ1つの出会いを大切にすることが重要だと感じた。
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