松山 章子 教授

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松山 章子 先生 松山 章子 先生

高校生へのメッセージ

大学で学ぶということは、世の中の多様な価値観や生きざまに触れ、自分自身の感覚を揺り動かされ、時には壊される経験を通じて、自分自身で考える力を身につけて行くことだと思います。津田塾大学、多文化国際協力学科は、フィールドワークという「現場に身をおく」機会を提供します。その中であなた自身が、より深く知りたいと思う社会事象や人間の在り方に対して「問い」を立て、「必ずしも一つではない答え」を見つけることに挑みます。この複雑でそしてワクワクする学びを一緒に経験しましょう。

私の研究

「健康」とはどういう状態でしょうか?WHO(世界保健機関)は「肉体的にも、精神的にも、社会的にも全てが満たされた状態」を健康であると定義しています。つまり、単に医学的に病気ではないということではありません。一方で、病気である、健康であるということは、生、死、老い、性に関わる事柄なども含め、ある専門家集団が特定の「定義」をつくり全てに当てはめることができるような単純なものでもありません。何を病気と考えるか、健康だと感じるかはその社会の在り方や世界観(世の中を見るレンズ)と密接に結びついているからです。私が専門とする医療人類学は、このような社会的・文化的に構築される健康の問題を、人々の世界観を通じて理解しようとする学問です。世界のどの地域でも近代医療、伝統医療、民間医療など多元的な医療体系を内包しており、その中で私たちは病気を経験し、健康になるために予防や治療ケアを求めます。また、家族の経済状況、ジェンダー問題、保健医療施設へのアクセスなど、世帯や地域の政治的、経済的、社会的環境も健康希求行動へ影響を与えます。
国際協力・援助分野では、多くの健康問題に対しては近代医療的解決法が存在し、その解決法を利用しないのはその人たちに「知識が欠如しているから」という前提で保健医療プログラムを立案、実施し、そして失敗することを繰り返してきました。「心身一如」という考え方を更に広げて解釈すると、人々が真に健康に生きるために心と体を分けて考えることができないのと同じように、個人(や集団)と彼らの生活のあり様という社会的文脈を切り離すことはできません。このような立場で私はアジアやアフリカで研究を続けています。
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