三上 敏夫 教授

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高校生へのメッセージ

高度な科学技術に依存している現代社会では様々な場面に数学が現れます。また、深刻かつ解決が容易ではない問題も起こります。今こそ、数学によって培われた継続的かつ柔軟な論理的思考力や問題発見・解決能力をもった人材が求められます。数学は決して無機的なものではありません。そこには、妥協することなく挑戦し続ける人間味溢れた魅力的な数学者たちがいます。伝統ある素敵なキャンパスで数学の素晴らしさを実感しましょう。

私の研究

1781年にフランスのMongeは、ある場所にある小石の山を別の場所に移すのに一番楽な石の運び順は何かという問題を提唱しました。この問題は、20世紀に、ロシアのKantorovich(Nobel経済学賞受賞)によりさらに研究され、Monge-Kantorovich問題(あるいは最適輸送問題)として知られています。現在も数学の様々な分野の研究者により盛んに研究されており、経済学、流体力学や画像処理等にも幅広く応用されています。この問題に関する最初の顕著な定理は、1989年にフランスのBrenierによって証明されました。私は、2004年に、Brenierの定理の確率論的証明を与えました。私があと15年早く生まれていたら私が最初に証明していたかもしれません!?
Schrödinger(Nobel物理学賞受賞)は、1926年に、(ランダムな)粒子の運動はある微分方程式の解で決定されることを示しました。その解の確率解釈は、1926年にBorn(Nobel物理学賞受賞)により与えられました。さらにSchrödingerは次のように考えました:時刻0と時刻1で粒子の状態がわかっているとき、その間の時間での粒子の運動は、エネルギーが最小になるように決まる。最適輸送問題はランダムさのない現象で最適な手段を決定する問題です。Schrödingerの理論を発展させて、ある場所からある場所に粒子が移動したときの粒子の運動の数学的理論を構築するのが私の最近の研究で、確率最適輸送問題と名付けました。これには、確率論以外の数学の様々な分野も関係します。基礎理論はほぼ完成したので、現在、数学の他分野への応用を模索しています。

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