松野 一夫 教授

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高校生へのメッセージ

長く大変な計算を経て正解にたどり着いたときに爽快感を感じたことがある人は多いと思います。数学を勉強していくと簡単には理解できないことも増えてくるかもしれませんが、頭と手を使ってとことん考えた末にようやく分かったときの喜びは大きいはずです。その喜びを一緒に味わうことができたら嬉しいです。

私の研究

整数論という分野を専門としており、特に楕円曲線と呼ばれる曲線に関連する問題を中心に研究しています。楕円曲線というのは「楕円」とは別の曲線で、楕円の周の長さを表す積分と関係する、y2=x3+1などのような3次式によって定義される曲線です。楕円曲線は、「3辺の長さが全て有理数である直角三角形の面積になり得る整数を決定せよ」という合同数問題と呼ばれる整数論の古典的な問題などと直接的に関係しますし、「nが3以上の整数ならばxn+yn=znを満たす正整数x,y,zは存在しない」という有名なフェルマー予想のワイルズによる証明でも大事な役割を果たす、整数論における重要な研究対象です。楕円曲線のもつ重要な性質の1つとして、楕円曲線上の点の「たし算」の存在が挙げられます。楕円や放物線といった2次曲線は直線と一般に2点で交わりますが、3次曲線である楕円曲線と直線は一般に3点で交わります。このとき、その3点の「和」が0となるように「たし算」を定めることができます。この楕円曲線上の「たし算」を使うと、例えば、3辺の長さが3,4,5である面積が6の直角三角形から出発し、3辺の長さがのような面積6の直角三角形を無数に作り出せることが明確に説明できます。また、インターネットでの情報のやり取りに欠かせない暗号技術にも「たし算」を備えた楕円曲線を利用できることが知られています。

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