武田 万里子 教授

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武田 万里子先生 武田 万里子先生

高校生へのメッセージ

私は十八歳のときに大学で法律学を学びはじめました。それがとても自分に合っているなあ、と思ったのは、法律学が前提にしている人間観が、自分がこんなふうに生きたいと思っていたイメージと同じだったからです。法律学を学ぶことは、私にとって、自分が自分らしく生きるための力を身につけることでした。みなさん一人ひとりが、津田塾大学で、自分らしく生きるための力を与えてくれる学問に出会えることを祈っています。

私の研究

日本国憲法におけるジェンダー平等

これまで、日本国憲法のもとにおけるジェンダー平等の法理について、アメリカ合衆国憲法の平等保護条項のもとにおける性差別禁止の法理、女性差別撤廃条約における差別の意味や締約国の義務などを主に参照しつつ検討してきた。日本においては、合衆国の平等保護法理に影響を受けつつも裁判所の性差別に対する違憲性審査はゆるく、異なった取扱いを合理的差別と認め、それもあって違憲訴訟の提起自体が限られている。政治過程においても性差別禁止立法は実現しない。このため、法的な差別ですら見直しは停滞し、差別的効果を差別として認めず、実質的な平等の遅れは著しい。
こうした日本の現状に対し、近年変化が見られるようになった。たとえば、労災における外貌醜状障害における性差別に対する違憲判決とそれを受けた障害等級表の改正、配偶者のうち夫にのみ年齢要件を課す遺族補償年金制度を違憲とした地裁判決、公立女子大に入学を拒否された男性による女子大違憲訴訟の提起、民法の婚外子法定相続分規定の最高裁大法廷違憲決定などが挙げられる。しかし、違憲判決は出ても、その判断枠組みについては厳格化したわけではなく、立法事実の変遷を理由にするだけでは、構造的性差別を解消することはできない。日本国憲法の保障する性の平等にかかわる憲法保障のあり方について、あらためて国際人権法や比較法の視点をふまえて、考えていきたい。 
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