南 諭子 准教授

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南 諭子先生 南 諭子先生

高校生へのメッセージ

国際法はこれまで、領土問題など国家間の問題を規律するものと理解されてきました。しかし最近では、人権に関する条約など個人に直接かかわるような条約が多数作成されています。つまり私たち個人の生活にかかわる事項が、国際社会の共通基準のようなものによって規律されつつあるのです。このような変化、あるいは発展はなぜ生じたのでしょうか。現代の国際社会における国際法の役割やその課題について一緒に考えてみませんか。

私の研究

中心的な研究テーマは環境アセスメントです。環境アセスメントとは、ある意思決定(例えば工場をつくるという決定)をする際に、その意思決定がもたらす環境への影響を事前に調べて、環境に配慮した意思決定を確保する(例えば環境影響が大きすぎるので工場の規模を縮小する)ための手続です。アセスメントには通常、環境への影響について住民等が意見を述べる手続が含まれるため、環境への配慮とともに市民参加を確保する手続といえます。このような手続の実施が国際法によって義務づけられることの意味を明らかにすることが研究の目的です。
最近は、アセス違反の裁判に関する国際基準の生成がテーマで、EU環境法の論文集に執筆したりしています。環境の利益はその帰属先が特定できないところに特徴があります。個人の利益ではなく公の利益なのか、人間の利益ではなく動植物の利益なのか、現在の利益ではなく将来の利益なのか。アセス違反(環境影響を調べない、住民の意見を聞かない、など)によって侵害されるのは、誰のものかわからない環境の利益なのか、あるいは住民の「意見を述べる利益」なのか。これらをどう理解するかによってアセス違反の裁判はさまざまな形になります。もしその形が国際法によって統一されるとすれば、それは裁判所の役割を国際的に統一することであり、統治の仕組みを国際的に統一することにつながるのではないか、ということを研究しています。
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