北見 秀司 教授

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北見 秀司先生 北見 秀司先生

高校生へのメッセージ

生があまりにも軽んじられている、そういう時代に私たちは生きています。原発事故は未収束、一方、経済格差は広がり、貧困と不安的雇用に溢れ、不況は長引き、先が見えません。
その原因は社会構造・制度にある。そこで、これについて関心を持ち、大学時代に学んでほしい。
そして、今、当たり前に思われていること、自然なこと、したがって変えられないと思われていることの多くが、実は制度が作り上げた歴史的なものであり、変化しうるもの・変えられるものであることに気づいてほしく思います。
社会に対して受け身でなく、主体になるには、まず思考を自由にすることから始めましょう。

私の研究

20世紀フランス思想、特にサルトルという哲学者の疎外・物象化論を主に研究してきました。
疎外論が問題にしているのは以下の点です。人間が社会を作った、だから人間が社会の主人であるはずなのに、人間の方が社会の奴隷になっている。どうしてこのような転倒がおきるのか、どうすれば、人間が社会の主体になることができるのか、この点を明らかにすることがサルトル哲学の根本にあります。およそこのようなテーマを『サルトルとマルクスI, II』(春風社、2010・2011年)で扱いました。
そして今は、より具体的・歴史的にこの問題を考えようとしています。
先に言及した現代社会の矛盾の根本原因は資本主義にある、と私は考えています。
また、資本主義の根本問題は経済でなく政治にある、とりわけ近代国際関係に規定された国家の政治が資本主義体制の成立と今日に至るまでの持続に深く関与している、というのが私の目下の仮説です。
一方で、資本主義を乗り越えようとしたソ連型社会主義、その権威主義的傾向の生成も、この近代国際関係との関連で考えられるべきだろう。
とすれば、そのような歴史を踏まえた上で、どのようなより民主的な社会を構想することができるか。ローカル・ナショナル・グローバルなレベルで、どのような社会を構想すべきなのか。
なけなしの知識で、このような壮大なテーマと格闘しています。
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