大類 久恵 教授

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大類 久恵先生 大類 久恵先生

高校生へのメッセージ

21世紀という「地球時代」に生きるみなさんには、世界のなかで起きているさまざまなことに関心をもってほしいと思います。関心をもったら、通り一遍のインターネット検索ではなく、徹底的に調べる習慣をつけてください。調べた事象について、自分なりの見解をもち、それを論理的に説明できる力も大切です。そうした力を大学で存分に発揮していただければ、嬉しい限りです。

私の研究

アメリカ史、アメリカ研究が専門分野です。アフリカ系アメリカ人(黒人)の歴史を、とくに20世紀半ばの黒人指導者マルコムXの思想と活動を中心に研究してきました。マルコムXは、黒人イスラーム組織ネイション・オブ・イスラームを離脱した1964年3月から、暗殺される1965年2月までの最晩年のほとんどを海外で過ごしています。この時期マルコムXは、一方ではスンニー派のムスリムとしてメッカ巡礼を果たし、サウジアラビアやエジプトを訪問してイスラーム教徒の要人たちと親しく交わり、他方で、ガーナをはじめとする新興アフリカ諸国の政治指導者やアフリカ在住のアメリカ黒人と積極的な交流を展開しました。マルコムXが目指していたのは、世界宗教としてのイスラームやアフリカ、アフリカ人の連帯を謳う汎アフリカ主義を通じて、アメリカ国内で「二級市民」の扱いを受けていた黒人大衆に、自らを世界の人々に連ねる視座を与えることでした。マルコムXのこのような活動は、アメリカという国家を超えて黒人の連帯を模索したトランスナショナルな思想に裏打ちされていたと言えます。トランスナショナルな視座は、大西洋奴隷貿易により新大陸に連行されて以降、アフリカ系アメリカ人が刻んできた歴史のなかにさまざまな形で現れてきました。マルコムXの思想と活動をこの系譜に位置づけつつ、アメリカの歴史を異なった角度から眺めてみることを試みています。
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