小野 創 教授

みなさんは、旅の計画を立てたことがありますか。４年間の大学生活は、旅のようなものです。事前に情報を集め、行ってみたい名所を決め、道順を調べます。計画通りに行って、満足することもあるでしょう。脇道に驚きの発見をすることや、予定外の出会い、悩ましい迷路もあるかもしれません。大学には、多くのガイドがいます。どのガイドがどんな情報を持っているかを見極めて、自分が成長する旅をしに来てみませんか。

私の研究している心理言語学という分野では、人がことばを話したり聞いたりするときに、頭の中でどのような仕組みが働いているのだろうか、ということを様々な手法で調べます。私たちは、毎日あまり苦労を感じることなく、ことばを使っています。それは同時に、その仕組みがどれだけ高速かつ正確に「計算」をしているのかを、自分で感じることが難しいということを示しています。しかし、そのことばを使う仕組みは、多くの情報を取り込みながら、ものすごい速さで動いていることがわかっています。
以前４年生のプロジェクトで、単語に対する反応時間を計る実験をしました。「津田塾大学内でよく使う単語」に対する反応時間は、「一般的にありふれた単語」に比べて、平均して約50ミリ秒速かったという結果でした。普通の人は、50ミリ秒の差を日常生活の中で感じることはありません。しかし、このような「わ、小さいけど差があるんだ」ということを積み重ねながら、ことばを使う仕組みを少しずつ明らかにしていきます。
最近は、英語や日本語についての研究だけでなく、グアテマラのマヤ語の研究や、台湾の先住民族の言語についても、他の大学の先生たちと協力しながら調べています。私たちには馴染みのない言語において、どのようなことばの使い方の仕組みがあるのか、実験を通して明らかにしていきたいと思います。